三井物産デジタル・アセットマネジメントは、「ALTERNA(オルタナ)」で大型商業施設「イオン大宮」の底地を対象としたデジタル証券の募集開始を発表した。10万円から投資可能である。
底地が日本で初めてデジタル証券化
三井物産デジタル・アセットマネジメントが2026年5月12日に募集開始を発表した「三井物産グループのデジタル証券〜イオン大宮〜」は、埼玉県さいたま市北区に所在する大型商業施設「イオン大宮」の底地(※)を対象とした商品である。
底地のデジタル証券化は日本初の取り組みだという。
対象不動産の鑑定評価額は約86億円、敷地面積は約4万6475㎡だ。最低投資金額は10万円で、35万6000口を発行する。
募集有価証券は、ブロックチェーン基盤「ibet for Fin」を用いたセキュリティ・トークン(トークン化有価証券)として組成されている。
賃借人はイオングループ中核企業のイオンリテール株式会社であり、2026年から2076年まで約50年間の事業用定期借地権契約を締結予定だ。投資家は建物ではなく土地部分に投資し、毎月固定の地代収入を原資とした分配金を受け取る仕組みとなる。
予想分配金利回りは年3.4%(税引前)で、運用期間は2031年7月末までの約5年1カ月を予定している。
また、10口(10万円分)保有ごとに毎年500WAON POINTが付与される優待も用意された。上限は設けられておらず、イオン系列店舗やドラッグストアなど日常生活で利用できる点も特徴となっている。
※底地:借地権が設定された土地の所有権を指す。不動産投資では、土地を貸し出すことで地代収入を得る仕組みに活用される。
小口不動産投資拡大の可能性、流動性や運用リスクが課題か
今回の案件は、不動産投資の小口化とデジタル証券市場の拡大を象徴する事例と言える。従来、大型商業施設への投資は機関投資家や高額資産層が中心だったが、10万円単位まで細分化されたことで個人投資家でも参加しやすくなりそうだ。
さらに、イオンという生活密着型ブランドを背景にした安定収益モデルは、値上がり益よりインカムゲインを重視する投資家との相性が良いと考えられる。
加えて、さいたま市周辺は首都圏のベッドタウン需要を背景に一定の人口集積が続いているため、「イオン大宮」のような生活密着型商業施設には中長期的な利用需要が期待される。
今後、同様のスキームが物流施設や住宅、インフラ関連資産へ広がる可能性もある。
一方で、デジタル証券市場はまだ発展途上であるため、一般的な上場株式ほどの流動性は期待しにくい。譲渡制限付き商品である点に加え、想定利回りには元本払戻金が含まれているため、実際の運用成果は変動する可能性もある。
また、運用期間は延長される場合があるとも言及されているため、長期保有前提の商品設計であることにも注意が必要だ。
それでも、不動産をブロックチェーン上で小口化し、個人投資家へ開放する流れは今後さらに加速する可能性がある。今回の「底地」証券化は、日本の不動産金融市場における新たな資金調達モデルの先行事例となるかもしれない。
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