国内スナック菓子大手のカルビーは、2035年に向けた新たなグループ戦略「2035ビジョン」を発表した。
日本のスナック菓子メーカーから、世界規模で“SNACKING”市場を展開する企業への転換を掲げ、DX活用や海外事業拡大を軸に成長を目指す方針である。
カルビー、軽食市場拡大へ大転換
2026年5月14日に発表された「2035ビジョン」でカルビーは、自社をスナック菓子メーカーから進化させて、食習慣そのものを提案する“SNACKING COMPANY”へ進化させる方針を打ち出した。
ここでいう“SNACKING”とは、従来の「お菓子」の枠を超え、時間帯や食事区分に縛られない軽食・間食文化を指している。
より具体的には、顧客インサイトを起点とした価値創出へ軸足を移し、利用場面ごとの需要開拓を進める構えだ。
成長モデルとしては、「マーケティング」「ブランディング」「組織能力」「事業領域」の4領域を重点項目として設定した。
DX活用によるオペレーション改革においては、原料となるバレイショの収穫量や在庫量、加工歩留まりをAIで予測するほか、工場の自動化や標準化を推進し、生産効率向上を図る。
さらに、国内事業では“製品を売る”発想から、“売り場や体験を設計する”方向へ転換する考えも示した。商品開発に加え、生活導線や利用シーン全体を意識した取り組みが進められている。
食品企業の競争軸が変わる可能性
カルビーの今回の方針転換は、食品業界全体の競争構造にも影響を与える可能性がある。従来の食品メーカーは、商品の味や価格、販路拡大で競争してきた。しかし今後は、「どのような生活体験を提供するか」という視点がより重要になると考えられる。
特に注目されるのが海外展開だ。カルビーは北米事業の拡大を重要戦略として位置づけており、日本国内依存からの脱却を進める姿勢を明確にした。世界的には、軽食需要は健康志向やライフスタイル変化を背景に拡大している。
カルビーの提唱する時間にとらわれない“SNACKING”が定着すれば、大きな機会につながるだろう。
一方で、課題も存在する。軽食市場は参入障壁が比較的低く、海外ではグローバル食品企業との競争が激しい。
加えて、AI導入や工場自動化には大規模投資が必要となるため、短期的には収益負担が増す可能性もある。DX人材の確保や組織改革も容易ではない。
それでも、カルビーの戦略は単なる海外売上拡大ではなく、「食品企業の役割定義そのもの」を変えようとしている点に特徴がある。
今後、日本の食品メーカー各社が同様に“体験設計型企業”への転換を進めるかどうかは、国内市場縮小時代における重要な分岐点になりそうだ。
関連記事:
カルビー×コインチェックが「ビットコインピザポテト・デー」開催 暗号資産文化を食品コラボで一般層に拡大へ

カルビー「じゃがりこ」がブロックチェーンゲームに登場 SNPITとNFTコラボ
