国内ブロックチェーン事業を手がける日本ブロックチェーン基盤株式会社は、日本円建てステーブルコイン「EJPY」を発行する方針を正式決定したと発表した。
Ethereum互換チェーン「Japan Open Chain(JOC)」を中核基盤とし、企業間決済やデジタル資産決済の社会実装を目指す。
Japan Open Chain上で円建て決済基盤を構築
2026年5月13日に発表された「EJPY」は、日本法に準拠した信託型スキーム(※)を採用する日本円建てステーブルコインである。
日本ブロックチェーン基盤株式会社は、受託事業者との間で発行・償還、信託財産管理、システム要件、規制対応などの協議を進めてきたが、必要なスキーム構築に一定の目途が立ったとして、2026年度内の発行・流通開始へ向けた準備を本格化させる。
発行基盤の中核となるのは、大手企業やweb3事業者と構築したパブリックチェーン「Japan Open Chain」だ。
JOCはEthereum完全互換のレイヤー1チェーンであり、既存のEthereum向けアプリケーションやスマートコントラクト資産を活用しやすい特徴を持つ。
現在は株式会社電通やTIS株式会社、ピクシブ株式会社など14社がバリデータとして参画しており、将来的には21社体制へ拡大する方針が示されている。
EJPYは企業間決済やデジタル資産取引、Web3サービス上の決済用途を想定している。従来の国内Web3市場では、暗号資産価格の変動リスクが実利用拡大の障壁になりやすかった。
一方、円価値に連動するステーブルコインが普及すれば、ブロックチェーン上でも価格変動を抑えた決済や送金が行いやすくなることが期待される。
また、同社は将来的なマルチチェーン展開も視野に入れている。JOCを中核としながらも、他チェーンとの相互運用を進めることで、国内外事業者が利用しやすい決済インフラを整備したい考えだ。
※信託型スキーム:利用者から預かった法定通貨を信託銀行などで分別管理し、その残高に対応する形でステーブルコインを発行する仕組み。日本では比較的規制適合性が高い方式とされる。
日本発ステーブルコイン普及へ 制度対応と実需創出が鍵に
今回の発表は、日本国内で進むステーブルコイン制度整備の流れとも重なる。日本では2023年の改正資金決済法施行以降、法定通貨連動型ステーブルコインの発行・流通ルールが段階的に整備されてきた。
これにより、金融機関やWeb3企業による実証実験だけでなく、実運用を見据えた動きも増えつつある。
特に企業間決済との相性は良いと考えられる。従来の銀行送金は営業時間や手数料、国際送金時の中継コストが課題になりやすかった。
一方で、ブロックチェーン上のステーブルコイン決済は24時間稼働が可能であるため、条件次第では送金コストや決済時間を圧縮できる可能性がある。
ただ、課題も存在する。国内では電子決済手段等取引業者との連携が必要になるほか、マネーロンダリング対策や本人確認、監査体制など金融インフラとして求められる要件は極めて厳格だと言える。
さらに、企業側にとっては「既存銀行インフラとの差別化」が明確でなければ、実利用が広がりにくい面もある。
しかし、日本円建てのEJPYが国内企業や自治体レベルで実需を獲得できれば、日本独自のデジタル決済基盤形成につながる可能性がある。
単なる発行発表に留まらず、どれだけ具体的な利用シーンを作れるかが、今後の成否を左右しそうだ。
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