日本円ステーブルコイン「JPYC」を展開するJPYC株式会社は、発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」の大型アップデートを発表した。
Kaiaチェーンへの対応や発行ルール変更、償還条件の緩和などが実施される。
JPYC EX、Kaia対応と発行条件見直しを実施
JPYC社は2026年5月15日、JPYC EXにおける複数の大型アップデート実施を発表した。
変更点の一つが、JPYCの発行上限ルールの変更である。
これまでJPYCは「1日あたり100万円」までしか発行できなかったが、今後は「1回あたり100万円」に変更される。短時間での連続発行には制限が設けられるものの、より分かりやすい資金移動が可能となった。
加えて、新たにKaiaチェーンへの対応も開始された。
Kaiaは、韓国Kakao系の「Klaytn」とLINE系の「Finschia」が統合して誕生したレイヤー1ブロックチェーンであり、アジア最大級のエコシステムを持つことで知られる。
今回の対応により、利用者はKaia上でJPYCの発行・償還・ウォレット登録が可能になる。
さらに、償還時のネットワーク条件も一部緩和された。
従来は償還予約時にネットワークやウォレットアドレスの指定が必要だったが、今後は登録済みウォレットから送付されたJPYCであれば、対応ネットワークをまたいで償還対象となる。
アジア流通拡大に期待 規制と競争力が今後の焦点か
今回のアップデートによって、JPYCは単なる国内向けデジタル通貨から、アジア圏での利用を視野に入れたステーブルコインへ一歩踏み込んだと言える。
特にKaiaチェーン対応は、LINE関連サービスやアジア圏ユーザーとの接点拡大につながる可能性がある。日本円建てステーブルコインは依然として市場規模が限定的であったため、巨大ユーザー基盤を持つエコシステムとの接続は、流通量拡大の追い風になりうる。
また、発行条件や償還フローの改善により、大口決済や継続的な資金移動を行う事業者にとっても、JPYCの扱いやすさが向上する可能性がある。Web3決済やクロスボーダー送金(※)など、リアルユースケースへの適用余地は広がりつつある。
一方で、ステーブルコイン市場では規制対応が極めて重要になることは無視できない。
日本では資金決済法に基づく管理が求められているため、利便性向上だけでなく、不正利用防止や本人確認体制の維持も不可欠だろう。
さらに、国際市場ではUSDTやUSDCなど米ドル建てステーブルコインが圧倒的なシェアを持つため、JPYCが日本円建てならではの優位性を打ち出せるかどうかは、今後の提携戦略や実需ベースでの採用拡大に左右されることになりそうだ。
※クロスボーダー送金:国境をまたいで資金を送金する仕組み。従来の銀行送金より低コストかつ高速な決済手段として、ステーブルコイン活用への期待が高まっている。
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