JPYC株式会社は、シリーズBラウンドのセカンドクローズで28億円の追加調達を完了予定と発表した。
累計調達額は約46億円に達する見込みで、日本円ステーブルコインの社会実装を本格化させる構えだ。
JPYC、28億円追加調達で基盤強化
2026年4月20日、JPYC株式会社は、シリーズBラウンドのセカンドクローズにおいて28億円の追加資金を調達する予定であることを発表した。
これにより、同ラウンドの累計調達額は約46億円規模に拡大する見込みとなった。
投資家にはNCBベンチャーキャピタルやテクミラホールディングス、メタプラネット、北洋銀行などが名を連ねた。
今回の調達資金は、システムおよびアプリケーション開発、事業開発人材の採用、ステーブルコインの発行・償還や取引・決済・管理に関する事業、新たな成長機会への戦略的投資の4領域に重点的に投じられる。
特に、マルチチェーン展開の拡充に加え、AIエージェントが自律的に価値を送受信するM2M(※)決済において、JPYCがネイティブ通貨として機能するための開発環境整備にも注力する方針だ。
プログラマブルマネーとしての特性を活かし、機械間決済を含む新たな用途の開拓を進める狙いがある。
同社は2025年10月の発行開始以降、累計発行額21億円を突破し、JPYCを保有したことがあるウォレットアドレス数も13.7万アドレスを超えた。
直接のアカウント開設数は1.7万件にとどまる一方、保有経験のあるウォレットアドレス数はその約8倍に達しており、オンチェーン上での利用基盤が広がりつつある。
さらに、マルチチェーン展開の拡充により、複数のブロックチェーン上で利用可能な日本円建てステーブルコインとしての存在感を高める狙いがある。
※1 M2M(Machine to Machine):人を介さず、機械やシステム同士が自律的に通信・取引を行う仕組み。AIエージェントによる自動決済などへの応用が期待される。
ステーブルコイン普及の鍵はBtoB実需
今回の資金調達は、日本円建てステーブルコインが実証段階から実運用フェーズへ移行しつつある兆しと捉えられるだろう。特にマルチチェーン対応やM2M決済の進展により、機械同士が自律的に価値をやり取りする基盤が整う可能性がある。結果として、決済の即時性やコスト効率が高まり、越境取引の摩擦低減にもつながっていく期待は高い。
一方でデメリットとしては、制度対応と信頼確保の負担が引き続き重くのしかかる展開が想定できる。
資金移動業の枠組みに基づく以上、AML/CFT(※2)や資産保全といった要件への対応が不可欠となり、開発スピードとのバランスに課題が残るだろう。
さらに、海外では銀行発行型ステーブルコインやCBDCが拡大しており、競争環境は一段と厳格化していく可能性がある。
今後の展望としては、BtoB領域での継続的な利用実績の積み上げが鍵を握ると考えられる。
企業間決済やデジタル給与などで実需を獲得できれば、単なる技術から社会インフラへと位置づけが変化していく余地があるだろう。
利用頻度の増加に伴いネットワーク効果が働けば、標準化やエコシステム拡張が進展する展開も期待できる。
※2 AML/CFT:マネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐための規制・対策の総称。本人確認や取引監視などを通じて不正資金の流入を防止する。
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