米AI新興企業アンソロピックのダリオ・アモデイCEOが、同社の新型AI「クロード・ミュトス」について、中国企業が半年から1年で追いつく可能性があると発言した。
サイバー安全保障に関わる言及である。
アンソロピックCEO、中国AI急追を警告
ダリオ・アモデイ氏は、同社の新型AI「クロード・ミュトス」が数万件規模のソフトウエア脆弱性(※)を発見したと説明した。
本件はニューヨークで2026年5月5日に開催されたイベントの発言として、同日にCNBCテレビが報じている。
その上で同氏は、中国企業が半年から1年ほどで「クロード・ミュトス」と同等レベルへ到達するとの認識を示した。
未修正の脆弱性が大量に残る状態で競合国のAI能力が向上すれば、「悪者が脆弱性を突くだろう」と警鐘を鳴らしている。
一方で、最新AIを適切に活用できれば「よりよい世界になる」とも発言した。
※脆弱性:ソフトウエアやシステムに存在する欠陥や弱点。不正アクセスや情報漏えいなどの原因となる。
AI防衛競争加速 利便性と危険性が共存
今回のアモデイ氏の発言は、AIが「便利な業務支援ツール」の段階を超え、「国家安全保障や企業防衛の中核技術」へと移行し始めている現実を浮き彫りにしたと言える。
AIの発展によるメリットとして大きいのは、防御側の能力向上だろう。
AIによる自動解析が進めば、人間だけでは見逃していた脆弱性をより短時間で特定できるようになるはずだ。
特に金融、通信、インフラなど大規模システムを抱える業界では、セキュリティ対策コストの削減や障害予防にもつながる可能性がある。
一方で、同じ技術を攻撃側も利用可能であるということには注意しなければならない。
高度なAIが脆弱性探索を自動化すれば、従来より短時間で大規模なサイバー攻撃が実行される懸念がある。
国家間対立や産業スパイ活動に活用されれば、被害規模はさらに拡大しかねない。
今後は、単純なAI性能競争だけでなく、「どれだけ安全に管理・運用できるか」が企業や国家の競争力を左右する時代に入る可能性が高そうだ。
AI規制や国際的なセキュリティ協調の議論も、さらに加速していくと考えられる。
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