オランダ拠点のELSOUL LABO B.V.は、Validators DAOと共同開発するSolana向け開発ツール「SLV」の新環境をオープンソースで公開した。
スマートフォン1台とAIエージェントとの対話だけでSolanaアプリ開発を始められる構成を提供し、モバイル向け「SLV AI Chat」により多言語入力の安定化も実現した。
スマホだけでSolana開発可能に
従来のSolana開発では、SDK導入やRPC接続、ウォレット署名処理など複数の設定が必要だった。
これらを行うためには相応の知識と時間が必要であるため、新規参入の障壁が高い領域とされてきた。
しかし2026年5月1日に発表されたSLVの新環境では、スマートフォンのみでSolanaアプリやトレードbotの開発を始められるという。
SSHクライアントを導入したスマートフォンがあれば、AIエージェントとの自然言語対話を通じて、Solanaアプリの開発を行うことが可能になった。
また、pump.fun上で新規ミントされたトークンを検知し、条件に応じてトランザクションを送信するサンプルロジックも標準搭載された。
検知、送信、通知までの基本サイクルが実装済みで、開発者はAIエージェントへ自然言語で指示を出しながら機能を拡張できる。
また、モバイル向け新UI「SLV AI Chat」も追加された。
従来CLI環境では、日本語をはじめとするIME(※)を介する入力が不安定になる問題があったが、スマホ向けUIへの最適化によって、長文入力や変換時の操作性を改善したという。
さらに、Rust製トレードbotテンプレート、Discord通知、Solscanによるオンチェーン検証機能なども統合されており、GitHubからSLVを導入するだけで利用可能となっている。
※IME:日本語や中国語などを入力する際に使われる文字変換システム。ローマ字から漢字へ変換する機能などを指す。
Web3開発民主化の可能性と課題
今回のSLV公開は、Web3開発の参加障壁を下げる動きとして注目できる。
特にスマートフォン中心の設計は、高性能PCを持たないユーザーや新興国市場との相性が良いと言える。
世界的にはスマホが最も普及した計算端末であるため、「開発環境を持てない」という制約を弱められる可能性がある。
また、AIエージェントとの対話を前提にした構成は、コード知識の不足を一定程度補完する効果も期待できる。
従来は専門知識が必要だったSolanaのRPC通信や低レイテンシ設計についても、自然言語ベースで試行錯誤しやすくなりそうだ。
一方で、AI主導の開発にはリスクも存在する。
トレードbotや自動売買ロジックを容易に生成できるようになれば、コード内容を十分理解しないまま運用する利用者が増える可能性がある。
特にブロックチェーン領域では、誤送金や脆弱性が直接資産損失につながるケースも少なくないため、この点は無視できない課題となりそうだ。
加えて、実運用ではネットワーク品質やインフラ性能が重要になるだろう。
ELSOUL LABOはSolana特化インフラ「ERPC」との連携を進めているが、モバイル開発の普及がそのまま高品質な本番運用へ直結するとは限らない。
とはいえ今後は、AIがコード生成だけでなく、監査やデバッグ、運用監視まで担う方向へと進化する可能性もある。
今回のSLVは、Web3開発を専門家中心の作業から、対話型の参加モデルへ変える試みとして市場の関心を集めそうだ。
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