日本政府が生成AI基盤「源内」の大規模実証事業を大型連休明けに開始すると報じられた。
政府39機関の約18万人が対象となり、国会答弁作成や文書生成など行政業務へのAI活用を本格化させる方針である。
政府専用AI「源内」を39機関へ拡大
2026年5月6日、時事通信は、政府が大型連休明けにも、デジタル庁が開発した生成AI基盤「源内」の大規模実証事業を始める方針だと報じた。
日本国内ではAI活用の遅れが指摘されており、政府としても行政分野で先行導入を進めることで、国内全体のAI活用機運を高めたい考えとみられる 。
源内には、チャット機能や文書生成、会議記録作成、翻訳、要約、文字起こしなど30種類以上のアプリが搭載されている。
また、議員からの質問通告を入力すると、過去答弁との整合性を保ちながら回答案を作成する機能も搭載されており、再質問への対応も補助する。これにより、深夜作業や長時間労働の温床とされてきた国会対応業務の負担を軽減できるという。
また、政府専用環境で運用されるため、一般的な生成AIサービスで懸念される情報漏えいリスクを抑えられる点も特徴である。
デジタル庁では2025年5月から試験運用を進めており、職員アンケートでは約8割が「業務に寄与している」と回答したという。
政府は2027年度からの本格稼働を視野に入れ、今回の実証事業で運用課題や実務面での有効性を検証していく構えだ。
行政AIは“業務補助”から“行政基盤”へ進化するか
「源内」の実証は、行政業務を大きく効率化させる可能性がある。
特に、国会答弁や資料作成のような過去文書との整合性確認が求められる業務では、生成AIが実務負担を軽減する効果を発揮するとみられる。
閉域環境で運用される点も安心材料となり、日本政府が独自の行政AI基盤を整備する流れは今後さらに加速していくかもしれない。
一方で、AI活用が行政判断の責任所在を曖昧にする懸念は残る。
仮に誤情報や不適切表現が含まれた場合、最終的に誰が責任を負うのかという問題は避けて通れないだろう。
また、過去答弁を参照した自動生成が定着すれば、前例踏襲型の政策運営がさらに強まり、柔軟な発想や大胆な改革が生まれにくくなる可能性もある。
今後「源内」は、答弁作成支援にとどまらず、法令検索や政策立案、自治体支援などにも用途が広がるかもしれない。
実証で一定の成果が示されれば、中央省庁と地方自治体を横断する共通基盤として発展し、“行政OS”のような存在へと進化する可能性もある。
ただし、その実現には職員側のAIリテラシー向上と運用ルール整備が不可欠となりそうだ。
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