国内フィンテック企業のメルペイは、メルペイ残高やポイントが不足した際、不足分を自動的に「メルペイのクレジット」で補完する新機能の提供を開始したと発表した。
レジ前での残高不足による支払い停止を防ぎ、キャッシュレス決済体験のシームレス化を進める狙いだ。
残高不足時も自動補完で決済継続
2026年5月12日に発表された新機能では、「メルカリ」の売上金を含むメルペイ残高、ポイント、そして「メルペイのクレジット」を組み合わせて決済できるようになった。
利用者は残高やポイントを優先的に消費し、不足した分だけが自動的にクレジット枠から充当される仕組みとなる。
メルペイはこれまで、「メルカリ」の利用履歴などを基に独自与信(※)を行い、「メルペイのクレジット」や「メルカード」を展開してきた。
属性情報だけに依存しない与信モデルによって、従来の金融サービスでは十分な信用枠を得にくかった層にも決済機能を提供している。
しかし従来のスマホ決済では、支払い時に残高不足が発覚し、その場でチャージや決済手段の切り替えを迫られるケースが少なくなかったという。
メルペイが実施した調査では、キャッシュレス利用者の約6割が「残高不足でレジ前で慌てた経験がある」と回答している。さらに、そのうち約7割が現金への切り替えや購入断念、購入点数の削減を経験したとされ、残高不足が消費行動そのものへ影響していた実態も明らかになったという。
今回の機能追加は、単なる決済UX改善にとどまらない。
今後は「メルカード」利用時にも売上金やポイントを直接支払いへ充当できるようになるという。これまで売上金は請求額の清算用途が中心だったが、リアル店舗での即時利用へ用途が広がる形だ。
※独自与信:年収や勤務先などの属性情報だけでなく、サービス利用履歴や取引実績などを基に信用力を判断する仕組み。
“ウォレット化”進む一方、後払い依存の懸念も
今回のアップデートは、メルペイが単なる決済アプリから、日常的な金融基盤「ウォレット」へ進化しようとしている流れの一環と考えられる。
特に今回の仕組みは、「残高不足」というキャッシュレス特有のストレスを極力排除できる点が大きなメリットだろう。支払い時に自動補完が働くことで、利用者はチャージ残高を常に気にする必要が薄れ、現金決済に近い感覚で利用できるようになる可能性がある。
これは、日常決済における継続利用率向上にもつながりうる。
一方で、後払い機能が決済フローへ自然に組み込まれることで、利用者が実際に「借り入れ」を行っている感覚を持ちにくくなるリスクもある。特に少額決済が積み重なると、月末時点で想定以上の請求額になるケースも考えられる。
メルペイ側もこうした懸念を踏まえ、利用上限設定や初回クレジット利用時の通知機能を導入している。
さらに、翌月引き落としだけでなく即時支払いにも対応することで、使いすぎ防止を図る設計を採用していることは評価できる。
今後は、PayPayや楽天ペイなど他社スマホ決済も含め、「残高」と「与信」を融合したハイブリッド型決済が拡大する可能性がある。
QRコード決済競争は、金融インフラとしての囲い込み競争へ移行しつつあると言えそうだ。
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