2026年5月12日、高松市はKBN、STNet、ケーブルメディア四国と連携し、生成AIを活用した買い物支援サービス「こんにち商店」の実証実験を開始すると発表した。対象は国分寺地区の一部地域で、7月末まで実施される。高齢化や地域商店の減少が進む中、AIを活用した“生活インフラ”構築の試みとして注目を集めている。
生成AIが買い物支援 地方の物流課題に挑む
今回の実証実験では、KBNが展開する買い物サービスアプリ「こんにち商店」を活用し、地域住民が対話形式で商品を注文できる仕組みを検証する。12時までに注文すれば当日の夕方までに商品が配送される仕組みで、すでに坂出市や宇多津町では約300世帯が利用している。
高松市は、人口減少や高齢化によって日常の買い物が困難になる「買い物弱者」問題への対応を急いでいる。地方では全国的に、スーパー閉店や移動手段不足によって生活利便性が低下しており、行政と民間が連携した支援策が求められてきた。
今回の特徴は、生成AIを活用した対話型UIにある。従来のECアプリは操作が複雑になりやすかったが、「会話するだけ」で注文できる仕組みが実現すれば、高齢者でも利用しやすくなる可能性がある。実証では配送時間や需要動向に加え、利用者アンケートを通じて運用上の課題も検証される見通しだ。
地方AIインフラ競争へ 利便性と格差の両面も
今回の取り組みは単なるネットスーパー実験にとどまらず、生成AIを地域インフラへ組み込む試みとして他自治体へ波及する可能性がある。特に地方都市では、交通・医療・買い物といった生活基盤の維持が大きな課題となっており、AIによる省人化ニーズは今後さらに高まると考えられる。
一方で、課題も存在する。高齢者の中にはスマートフォン操作に不慣れな利用者も多く、AI導入だけで問題が解決するわけではない。通信環境やデジタルリテラシー(※)の格差が、新たな地域格差につながる懸念もある。
また、配送コストの上昇や人手不足が続く中、継続的な事業モデルを構築できるかも重要になる。自治体補助に依存しすぎれば、実証終了後の持続性が課題となる可能性もある。
地方行政が生成AIを“暮らしの支援基盤”として活用し始めた意味は大きい。
今後は防災や見守り、地域医療などへ用途が広がる余地もあり、地方発のAI活用モデルとして注目されそうだ。
※デジタルリテラシー:スマートフォンやインターネットなどのデジタル技術を理解し、適切に活用する能力のこと。