2026年5月6日、ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計大手アームが発表した4〜6月期の業績見通しが市場予想を上回った。
AI需要追い風にアーム業績が市場予想超え
アームが発表した2026年第1四半期(4〜6月)の売上高見通しは12億6000万ドルとなり、市場予想の12億5000万ドルを上回った。調整後1株利益見通しも0.40ドルと、市場予想の0.36ドルを超えている。前四半期の売上高も14億9000万ドルと予想を上回り、AI関連需要の強さを示す内容となった。
背景には、AIデータセンター向け中央演算処理装置(CPU)(※)需要の急拡大がある。生成AIやAIエージェントの普及によって、大規模計算インフラへの投資が世界的に加速しているためだ。レネ・ハースCEOは、データセンター関連ロイヤルティー収入について「かなり堅調な増加が含まれている」と説明している。
さらに同社は今年、自社初となるAI向け半導体「AGI CPU」を発表した。AIエージェント向けに設計された製品であり、2027〜2028年度にかけて約20億ドル相当の需要を確保済みだという。一方で、生産能力は現時点で約10億ドル分しか確保できておらず、残る供給枠についてはサプライチェーンと調整を進めている。
※CPU:コンピューターやサーバーで演算処理を担う中核部品。AIでは大量データ処理や制御を担当し、GPUと並ぶ重要半導体として需要が拡大している。
AI半導体市場拡大で期待と供給課題が交錯
今回のアーム決算は、AI市場の成長が半導体業界全体へ波及しつつあることを印象付ける内容となった。これまで生成AI関連ではGPU(画像処理半導体)が注目されてきたが、AIエージェントの普及を背景に、CPU需要も高まりつつあるとみられる。特にデータセンターでは、AI処理を支える総合的な計算能力を重視する動きが強まりつつある。
アームにとっての強みは、世界中の半導体企業へ設計技術を提供するライセンス事業にある。AI関連投資が増えることで、同社技術の採用拡大や継続的なロイヤルティー収入増加につながる可能性がある。AIインフラ需要拡大の恩恵を受けやすい立場と言えるだろう。
一方で、自社製半導体への本格参入にはリスクも伴う。半導体市場では先端製造能力の確保が世界的課題となっており、需要拡大が続けば供給不足やコスト上昇への懸念が強まりやすくなる。今回も、生産能力不足への警戒感が株価の重荷として意識されたとみられる。
今後は、アームが設計企業としての強みを維持しながら、自社製AI半導体事業をどこまで拡大できるかが焦点となる。AIインフラ需要が中長期的に拡大した場合、ソフトバンクグループ全体のAI戦略においても存在感をさらに強める可能性がある。
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