2026年5月13日、米Appleが、欧州連合(EU)のデジタル市場法(DMA)に基づくAI接続開放案に異議を唱えたとロイターが報じた。同社はGoogleと足並みをそろえ、競合AIへのアクセス開放が利用者のプライバシーや端末の安全性を脅かすと警告している。EUの巨大IT規制は、新たに生成AI分野へ波及し始めた。
EU、AI接続開放を要求 米巨大ITが反発
EUの欧州委員会は現在、巨大IT企業による囲い込みを防ぐため、デジタル市場法(DMA)(※)に基づく新たな措置を検討している。今回の焦点は、Googleの基本ソフト「Android」と外部AIサービスとの接続範囲である。
提案では、競合AI企業がAndroidアプリと連携し、メール送信や飲食注文、写真共有などを実行できるよう求めている。EU側は市場競争を促進する狙いだが、Googleは「利用者保護が損なわれる」と反発してきた。
そこに同調したのがAppleである。同社は提出書面で、AIシステムは挙動や脅威経路の予測が難しく、外部サービスへの接続拡大は端末性能やデバイス完全性にも重大な影響を与える可能性があると主張した。
※DMA(デジタル市場法):EUが導入した巨大IT規制法。特定企業による市場独占や囲い込みを防ぐ目的で、アプリ配信やデータ利用の開放を義務付けている。
AI競争は「性能」から「接続権」争いへ
今回の対立は、単なる規制問題ではなく、生成AI時代の主導権争いと見ることもできる。従来はAIモデル自体の性能競争が中心だったが、今後は「どのOSや端末に接続できるか」が競争力を左右する可能性が高まっている。
もしEU案が実現すれば、新興AI企業でもスマートフォンの基盤機能へ直接アクセスしやすくなる。これはAI市場の競争促進につながる一方、悪意あるサービスや脆弱なAIが端末内部へ入り込むリスクも増大する。
AppleとGoogleが共通して懸念しているのは、AIが従来アプリ以上に自律的に行動する点である。生成AIはユーザー指示を解釈し、複数サービスを横断的に操作できるため、不正アクセスや情報漏えいの被害規模も大きくなりやすい。
EUはこれまで巨大ITの独占是正を優先してきたが、生成AI時代では「市場開放」と「安全性確保」の両立がより難しくなると言える。
今回の議論は、今後のAI規制の国際標準を左右するきっかけとなる可能性がある。
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