2026年5月13日、日本のソフトバンクグループは2026年3月期決算を発表し、純利益が5兆23億円と過去最高を更新した。OpenAIなどAI投資の評価益が押し上げ、収益構造の転換が鮮明になっている。
AI投資益が牽引 純利益5兆円の実像
同社の2026年3月期連結決算は、売上高が前期比7.7%増の7兆7987億円、税引前利益が同259.9%増の6兆1349億円となり、大幅な増益を記録した。純利益は同333.7%増の5兆23億円に達し、日本企業として過去最高を更新した。
最大の要因は投資利益の拡大である。投資利益は7兆2865億円と前期の約2倍に伸び、そのうちOpenAI関連が6兆7304億円を占めた。ソフトバンク・ビジョン・ファンド2でも同社への投資利益が寄与し、累計損益は黒字へ転換している。
一方で、Alibaba GroupやT-Mobile株では損失を計上したほか、持株会社投資事業は為替差損や財務費用の影響で赤字となった。AIコンピューティング分野でも、Armの増収はあったが、研究開発費や買収関連費用の増加により損益は赤字となっている。
ソフトバンク事業は増収増益を確保し、通信・法人・金融の各分野が堅調に推移した。なお、2027年3月期の業績予想は不確定要素が多いとして公表を見送っている。
AI依存モデルの光と影 持続性は未知数
今回の決算は、ソフトバンクの収益源が事業収益から投資収益へとシフトしつつある可能性を示唆する。成長市場である生成AIへの集中投資が、短期間で巨額の利益を生み出し得る構造の一端が浮き彫りになったと言える。
このモデルの利点としては、外部成長を取り込むスピードの速さが挙げられる。有望企業へ早期に資本参加することで、自社開発に比べ効率的にリターンを得られる点は、相対的に強みとなり得る。一方で、評価益への依存度が高まるほど、市場環境の変動に業績が左右されやすくなるリスクも無視できない。
さらに、AI市場の競争激化も不確実性を高める要因となる。NVIDIAやIntelなど半導体企業を含むエコシステム全体の動向が、投資価値に大きく影響する構図と考えられる。規制強化や技術覇権争いの影響も、今後の評価額を左右する可能性がある。
後藤芳光CFOが示したように、単年度の利益規模そのものに本質的な意味はない。今後の焦点は、この収益モデルを5年、10年単位で維持できるかに移る。ソフトバンクが投資会社としての色彩を強めるのか、それともAI時代の基盤プレイヤーへ進化するのかが、次の分岐点となりそうだ。
ソフトバンクグループ 2026年3月期 決算(2026年5月13日)
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