2026年5月11日、ソフトバンク株式会社は法人向けクラウド「AIデータセンター GPUサーバー」において、GPUを分単位で利用できる時間貸しプランを開始した。小規模なAI開発を後押しする新たな提供モデルとして注目される。
GPU分単位課金 DGX A100を柔軟提供
ソフトバンクが開始した「NVIDIA DGX A100 時間貸しプラン」は、従来のサーバー単位契約とは異なり、GPUを1枚単位かつ1分単位で利用できる従量課金モデルである。AIモデルの開発やファインチューニングといった用途に応じて、必要な分だけリソースを確保できる仕組みとなる。
同プランでは、80GBメモリを備えた高性能GPU「NVIDIA A100」を採用し、AI計算に適した環境を提供する。加えて、専用の管理画面「AIポータル」からジョブの実行や管理が可能となり、専門的なインフラ知識がなくてもGPUを選択するだけで学習やデータ処理を開始できる設計だ。
料金は月額基本料金3万円に加え、GPU利用料は1分あたり7.2円と設定された。データストアは100GB単位で提供され、用途に応じて拡張できる。従来のような長期契約や大規模投資を前提とせず、短期間の検証や小規模開発にも対応する点が特徴である。
裾野拡大と依存リスク 市場競争の転換点
今回のモデルは、AI開発の裾野拡大につながる可能性がある。分単位課金により初期投資を抑えつつ試行錯誤が可能となり、スタートアップや企業内の小規模チームでも高性能GPUを活用しやすくなる。特に短時間の実験を繰り返す開発スタイルとの親和性が高いとみられ、AI導入のスピードを押し上げる要因となりうる。
一方で、需要集中による価格変動やリソース逼迫は留意すべき課題となる可能性がある。GPUは供給面で制約があるとされる資源であり、利用者増加に伴いコストが上昇する可能性もある。また、利便性の高いクラウド環境に依存するほど、特定事業者へのロックイン(※)が進む懸念も残る。
今後は、同様の従量型GPUサービスが他社にも広がることで、クラウド市場の競争軸が変化していくと考えられる。性能や価格に加え、操作性や開発体験といった要素が差別化要因となり、AIインフラはより「誰でも使える基盤」へと進化していく可能性がある。
※ロックイン:特定のクラウドやサービスに依存し、他の環境へ移行しにくくなる状態を指す。
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