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EU、AI規制を一部緩和へ 性的ディープフェイクは12月から全面禁止

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PlusWeb3 編集部 Web3・AI専門メディア

2026年5月7日、EU加盟国と欧州議会は、世界初の包括的AI規制「EU・AI法」の修正案で暫定合意したとロイターが報じた。高リスクAI規制の一部延期や対象除外を進める一方、性的ディープフェイク生成AIの利用は禁止される見通しとなった。

EU、AI規制修正で暫定合意

EU・AI法は2024年8月に施行された世界初の包括的AI規制(※)であり、AIをリスク別に分類して段階的に規制を導入する計画だった。しかし欧州企業からは、規制の重複や煩雑な手続きが競争力を低下させるとの批判が強まっていた。

こうした状況を受け、EU加盟国と欧州議会は9時間に及ぶ協議を実施。その結果、生体認証や重要インフラ、法執行分野などに適用される高リスクAI規制について、施行時期を当初予定の2026年8月から2027年12月へ延期することで合意した。

さらに、機械分野については既存の業界規制が存在することを理由に、AI法の対象から除外される見通しとなった。産業界の要望を一定程度反映した形であり、EU側が企業負担の軽減へ舵を切ったことがうかがえる。

一方で、規制強化も盛り込まれた。イーロン・マスク氏率いるxAIの「Grok」を巡って問題視された、本人の許可なく性的に露骨な画像を生成するAIの利用は禁止される方向だ。いわゆるディープフェイク(※)対策を強化する狙いがあり、2026年12月2日から適用予定となっている。

また、AI生成コンテンツに対する透かし表示義務も同日から導入される見込みである。今回の合意内容は、今後数カ月以内にEU各国政府と欧州議会による正式承認を経て確定する。

※EU・AI法:欧州連合(EU)が導入したAI規制法。AIを危険度別に分類し、高リスク用途には厳格な安全性・透明性義務を課す世界初の包括的AI法として知られる。

※ディープフェイク:生成AIなどを用いて、実在人物の顔や音声を高精度で偽造する技術。近年は性的画像や偽情報生成への悪用が社会問題となっている。

競争力維持と安全規制の両立が焦点に

今回の修正は、EUが「AI規制の厳格さ」と「産業競争力」の両立を模索する姿勢を強めたことを示した可能性がある。これまで欧州では、厳しい規制がAI開発の足かせとなり、米国や中国との技術競争で不利になるとの懸念が広がっていた。高リスクAI規制の延期は、企業側にとって開発や導入の負担軽減につながる可能性がある。

特に生成AI市場では、開発速度や計算資源の確保が重要な競争要因になっている。規制対応コストが過度に増加すれば、欧州企業が米テック大手に対抗しづらくなる恐れもあった。その意味で、今回の修正は欧州企業の事業環境改善につながるとの見方もできる。

一方で、規制緩和が進むことで「EUらしさ」が薄れるとの指摘もある。EUはこれまで、個人情報保護やデジタル規制において世界標準を主導してきた。しかし企業側への配慮が強まれば、「世界で最も厳格なAI規制」という立場が揺らぐ可能性も否定できない。

その中で、性的ディープフェイク禁止を明確化した点は象徴的とも言える。生成AIの普及に伴い、偽画像問題は国際的な課題として浮上している。特に女性や未成年者を標的とした悪用への懸念は強く、今後はEUの規制方針が他国にも波及し、AIの透明性義務やディープフェイク規制が世界標準化していく可能性がある。

EUデジタル戦略公式サイト プレスリリース

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