2026年5月7日、東京株式市場で半導体メモリー大手キオクシアホールディングス株がストップ高となった。AIデータセンター向け需要拡大への期待から海外メモリー株が上昇し、その流れを受けてキオクシアの時価総額は日立製作所を上回ったとブルームバーグが報じた。
AI需要期待でキオクシア株急騰
キオクシアホールディングス株は7日の東京市場で前営業日比7000円高となり、制限値幅の上限で取引を終えた。株価は昨年末比で4倍超まで上昇し、時価総額は約23兆7000億円へ拡大。日立製作所やアドバンテストを抜き、国内企業の時価総額ランキングで6位に浮上した。
背景には、世界的なAIインフラ投資の加速がある。日本の大型連休中には、韓国のサムスン電子やSKハイニックス、米サンディスクなど海外メモリー大手の株価が大幅高となっていた。AIデータセンター向け需要の拡大によって、DRAMやNAND型フラッシュメモリー(※)の需給逼迫への期待が強まったためだ。
キオクシアは旧東芝メモリー事業を源流とする日本最大級のフラッシュメモリー企業であり、AI時代の基幹インフラ銘柄として再評価されている格好だ。4月30日にはソニーグループの時価総額も上回っており、日本株市場で存在感を急速に拡大させている。
※NAND型フラッシュメモリー:スマートフォンやSSD、データセンター向けストレージなどに使われる半導体メモリー。電源を切ってもデータを保持でき、大容量データ保存に適している。
AI半導体相場拡大と過熱懸念
今回の株価急騰は、日本市場でもAI関連インフラ企業への資金流入が強まりつつあることを示した可能性がある。これまで生成AI相場ではGPUメーカーが中心だったが、足元ではメモリー企業にも評価が広がり始めている。AIモデルの高度化に伴い、大容量データを高速処理するメモリーの重要性が市場で再認識されているためとみられる。
特に日本にとっては、半導体分野での存在感を取り戻す契機となる可能性がある。かつて日本企業はメモリー市場で世界を席巻していたが、近年は韓国や米国勢の後塵を拝してきた。AI向け需要の拡大が続けば、キオクシアのような国内企業への投資や技術開発が再び活発化する展開も考えられる。
一方で、半導体市場特有の景気循環リスクには注意が必要だ。メモリー業界は需給変動が激しく、供給過剰に転じた場合は価格下落と業績悪化が急速に進む傾向がある。現在の株価上昇は、AI需要拡大への期待を市場が強く意識していることの表れとも考えられるため、今後の投資ペース鈍化や世界景気減速が起きれば調整圧力が強まる可能性もある。
それでも、生成AIブームの影響がソフトウェアだけでなく半導体供給網全体へ広がり始めている点は注目される。今後はGPUだけでなく、メモリーや電力、データセンター設備を含めた「AIインフラ企業」が市場の新たな主役になっていくとみられる。
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