国内で地域向けNFT事業を手がけるあるやうむは、福島県南会津町の「道の駅たじま」で毎月1回イナゴソフトクリームを受け取れる「“一生”イナゴソフトが食べられる権」が、限定10口すべて完売したと発表した。
限定10口のイナゴソフトNFTが完売
あるやうむは2026年9月28日、同社が提供する「TOKKEN(トッケン)」で、福島県外の居住者を対象に9月17日から販売していた「“一生”イナゴソフトが食べられる権」が、限定10口すべて完売したと発表した。
価格は1,500円(税込)で、購入者は「会津西街道 道の駅たじま」で毎月1回、名物のイナゴソフトクリームを受け取れる。
イナゴソフトは、ソフトクリームの上にイナゴの煮つけをのせたご当地商品だ。
味はバニラや山ぶどう、アスパラガス、トマト、それらのミックスを含む6種類から選択できる。
今回の商品では、この体験をNFT(※)として権利化し、地域の食を一度楽しんで終わるのではなく、継続的な来訪につなげる仕組みを設けた。
毎月利用できる特典を設けることで、道の駅での買い物や周辺観光を含め、南会津との接点を繰り返し生み出す仕組みとなっている。
限定10口の完売により、購入者が今後継続的に地域を訪れるきっかけが生まれた形だ。
TOKKENでは現在、富山県舟橋村の越中舟橋駅で利用する車内メロディの制作体験や、香川県琴平町の旧金毘羅大芝居で舞台装置「せり」の仕掛けを体験できる商品も販売している。
地域ごとの食や文化をデジタル上の権利と組み合わせ、現地での体験につなげる商品展開を進めている。
なお、名称にある「一生」は無期限を意味しない。権利が有効なのは株式会社みなみあいづが道の駅たじまを運営する期間で、現在の指定管理期間は2031年3月31日までとなる。
指定管理者の交代や同社の運営終了時には権利も失効する。
※NFT:ブロックチェーン上で発行・管理されるデジタル証明書。画像などのデジタル資産だけでなく、特典や利用権、会員資格などとひも付けて活用される例もある。
地域体験NFTは再訪促進の手段になるか
今回完売した商品は、NFTを投機対象ではなく、地域で実際に利用できる体験型の権利として設計した点に特徴がある。
1,500円という比較的参加しやすい価格で、毎月利用できる明確な特典を付けたことで、購入後の行動まで想定した商品になっていると言える。
地域側にとっては、一度きりの観光客ではなく、繰り返し足を運ぶ人との関係をつくれる可能性がある。
来訪のたびに飲食や買い物、周辺観光へ消費が広がれば、NFTの販売額以上の波及効果も期待できる。あるやうむが掲げる地域ファンづくりとも親和性が高い。
さらに、こうした仕組みは有名観光地だけでなく、地域固有の食や文化、施設そのものを訪問動機へ変えられる点に強みがある。
従来は単発で消費されやすかった地域資源を、継続利用できる権利として設計することで、観光客との接点を長期化できる可能性がある。
一方、利用価値は現地を訪れる頻度や距離に左右される。今回は福島県外の居住者を対象としているため、購入者が継続的に来訪できるかは交通費や移動時間にも影響される。
また、運営主体の変更で権利が失効する条件もあり、「一生」という表現と実際の有効期間を分かりやすく示し続けることが重要になりそうだ。
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