株式会社シーエーシー(CAC)は、設計思想の異なる複数のブロックチェーンに対応したDvP決済基盤「Pactora」を開発し、提供を開始した。
金融機関におけるトークン決済のリスク排除と導入課題の解決を目指す。
異種チェーンに対応したDvP決済基盤「Pactora」を提供開始
株式会社シーエーシー(CAC)は、Avalanche、Solana、Canton Networkなどの異なるブロックチェーン上でトークンの発行や管理を行うエスクロー型のマルチチェーン取引プラットフォーム「Pactora」を開発し、2026年8月19日に提供開始した。
主な活用対象として信託銀行、証券会社、資産運用会社といった金融機関が想定されている。
本件の背景には、実物資産(RWA)のトークン化やステーブルコインへの関心が高まり、エンタープライズ領域において従来の許可型からパブリックブロックチェーンとの融合が進んでいる状況が存在する。
一方で、金融機関がパブリックチェーン上のシステムを導入する際には、未引き渡しや未入金といった決済リスクへの対応に加え、チェーンごとに異なる技術体系の習得が課題となっている。
これに対し「Pactora」は、トークンの受け渡しと支払いを同一トランザクション内で不可分に実行する「アトミックDvP決済」を実現し、決済リスクを構造的な排除を可能にする。
さらに基盤側でチェーンごとの差異を吸収し、共通のUI・UXを提供する。
なお、開発においては専門エンジニアがAI駆動開発(AI-Driven Development)を活用し、リスクを人的に確認する体制を前提とすることで、品質維持と低コスト・スピード開発を両立させたという。
導入効率化の利点と制度面の課題 オンチェーン金融の未来像
「Pactora」は、オンチェーン金融の拡大を目指す企業に対して大きなメリットをもたらすと考えられる。
異種チェーンの差異を基盤側で吸収し運用ハードルを下げることで、金融機関によるデジタル社債や預金トークンの発行参入は加速するだろう。
また、AI駆動開発と人的検証を組み合わせた開発プロセスは、品質とコストパフォーマンスを両立させる先進的なモデルとして高く評価できる。
一方で、留意すべきデメリットや課題も存在する。
本基盤は取引を実行する技術基盤であり、トークン化される資産の許認可や法令対応は発行主体が個別に行う必要があるため、規制面のハードルが導入のボトルネックとなるリスクがある。
また、連携する各パブリックチェーンの障害や仕様変更に対応する運用の継続性も課題となりそうだ。
とはいえ今後は、金融領域にとどまらず、サプライチェーン決済やポイント・会員権のトークン化など幅広いビジネス分野へPactoraが波及する可能性もある。
法制度の整備や採用実績の蓄積が進めば、異なるブロックチェーンをまたぐオンチェーン取引を支える金融基盤の一つとして、Pactoraは存在感を高めるかもしれない。
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