2026年7月28日、xAIはGrokの新機能「Build Mode」を発表しました。作りたいものを文章で伝えると、Grokがコードを書き、実際に動くWebサイトやアプリ、ゲーム、データを見やすくまとめた画面などを会話の中で作ります。利用者は完成した画面を見ながら、配置の変更や機能の追加を続けられます。作ったものはgrok.meのリンクや、利用者が持つ独自ドメインで公開できます。
現在はSuperGrok Heavy加入者向けの早期ベータ版として、Web、iOS、Androidで提供されています。アイデアを考える段階から公開する段階までの流れを大きく変える可能性があるため、本プロジェクトの詳細を考察します。
GrokのBuild Modeは会話の中で動くものを作る機能
GrokのBuild Modeは、作りたいものを文章で伝えると、Grokが必要なコードを書き、実際に操作できる画面を会話の中に表示する機能です。これまでの生成AIは、質問への回答や文章の作成が主な使い方でした。Build Modeでは、回答を文章で返すだけではなく、Webサイトやアプリなどの動く形として見せてくれます。
最初の指示だけで完成させる必要はありません。表示された画面を見ながら、「ボタンの位置を変える」「新しい機能を加える」「全体を明るい雰囲気にする」といった希望を伝えられます。Grokは、その内容に合わせて作ったものを直していきます。そのため、利用者は完成した姿を最初から細かく決めなくても、画面を確認しながら少しずつ仕上げられます。
xAIは、Build Modeを使うために、別の開発環境を入れたり、細かな初期設定をしたりする必要はないと説明しています。専門的なコードに触れずに作業を進められるため、開発経験が少ない人でもアイデアを形にしやすくなっています。ただし、思いどおりの結果を得るには、作りたい内容や直したい部分を具体的に伝えることが大切です。
参照:Grok「Introducing Build Mode」
Build Modeで作成できるものと主な使い道
Build Modeでは、情報を掲載するWebサイトだけでなく、操作に応じて動くアプリやゲーム、データを確認するための画面なども作れます。xAIの公式ページでは、いくつかの具体的な制作例が公開されています。ここでは、作成できるものを3つの種類に分け、それぞれの特徴を紹介します。
商品や活動を紹介するWebサイト
Build Modeでは、商品やサービスを紹介するランディングページ、作品や実績を掲載するポートフォリオ、企業や店舗の情報をまとめたWebサイトなどを作成できます。たとえば、新商品の特徴を1ページに整理したり、個人の活動内容や制作実績を見せるページを用意したりする使い方が考えられます。
正式なWebサイトを作る前に、ページの並びや見せ方を確認するための試作品として使う方法もあります。文章だけの企画書では伝わりにくい内容でも、実際の画面があれば、写真の大きさやボタンの位置、情報の読みやすさなどを具体的に確認できます。
ただし、Build Modeで画面を作れたとしても、掲載する文章や画像の権利、問い合わせ先の正しさ、案内内容に間違いがないかといった確認は必要です。短時間で作れることと、そのまま安心して公開できることは別に考える必要があります。
日々の作業に使えるアプリやデータ画面
Build Modeでは、予定を整理するプランナー、作業の進み具合を記録するツール、数値を計算する機能、条件によって結果が変わるシミュレーションなども作成できます。見るだけのページではなく、利用者の操作に応じて画面や処理が変わる仕組みを作れる点が特徴です。
また、接続機能を使って必要な業務データを取り込み、グラフや絞り込みができる画面にまとめる使い方も案内されています。たとえば、売上や利用状況などを見やすい形に整理し、必要な情報を選んで確認する方法が考えられます。
一方で、どの外部サービスと接続できるのか、どのくらいの間隔で情報が更新されるのかといった細かな条件は、公式の紹介ページでは示されていません。実際に利用する場合は、対応するサービスやデータの扱い方を事前に確認することが大切です。
操作して楽しめるゲームや体験型コンテンツ
Build Modeは、レースゲームやパズル、立体的な空間を動き回る3Dコンテンツなどの作成にも対応しています。xAIの公式ページでは、森の中を自由に走るドライブゲーム、道路を作って街を育てるゲーム、重力や摩擦の違いを試せる3D空間、音を組み合わせるビートマシンが公開されています。
これらの作品は、画面を見るだけではなく、利用者の操作によって動きや結果が変化します。そのため、遊びを目的としたゲームのほか、仕組みを体験しながら学ぶ教材や、イベントで利用する簡単なコンテンツなどへの活用も考えられます。
ただし、教育やイベントへの利用は、xAIが公式な効果を示したものではありません。公開されている機能や制作例から考えられる使い方です。また、早期ベータ版のため、多くの利用者が同時に使う作品や、長期間の運用が必要な作品にどこまで対応できるかは明らかになっていません。
Build Modeの利用条件と公開までの流れ

Build Modeは、Grokのすべての利用者に提供されている機能ではありません。2026年7月31日時点では、対象となる料金プランや利用できる端末が決められています。また、完成したものをほかの人へ見せるための公開機能も用意されています。ここでは、利用を始める前に確認したい3つのポイントを紹介します。
現在はSuperGrok Heavy加入者が対象
Build Modeは、2026年7月28日に早期ベータ版として提供が始まりました。現在の対象者は、SuperGrok Heavyに加入している利用者です。無料プランやほかの有料プランへの提供時期については、公式ページでは発表されていません。
早期ベータ版とは、正式な提供に向けて機能を試している段階です。そのため、今後の更新によって、使える機能や画面、提供対象、利用条件などが変わる可能性があります。重要な業務や長期間使うサービスへすぐに取り入れるのではなく、最初は小さな試作品から始める方法が安心です。
なお、xAIの個人向け利用規約では、ベータ版や試用機能を評価のために使う場合、個人の非商用利用に限るとされています。企業や店舗が仕事で使う場合は、利用するアカウントや契約に合った最新の条件を確認する必要があります。
Web、iOS、Androidから利用できる
Build Modeは、パソコンのブラウザで開くgrok.comのほか、iOS版とAndroid版のGrokアプリから利用できます。利用するときはGrokを開き、モードを切り替える部分から「Build」を選びます。その後、作りたいものを文章で伝えると制作が始まります。
パソコンだけでなくスマートフォンにも対応しているため、外出先で思いついたアイデアをその場で試したり、移動中に作成内容を確認したりする使い方が考えられます。一方、細かな配置や多くの情報を確認する場合は、画面の広いパソコンのほうが作業しやすいこともあります。
各端末で利用できることは公式に案内されていますが、パソコン版とスマートフォン版で使える機能がすべて同じかどうかは、紹介ページでは詳しく説明されていません。利用目的に合わせて、使いやすい端末を選ぶことが大切です。
grok.meや独自ドメインで公開できる
Build Modeで作成したものは、grok.meのリンクを使って公開できます。リンクを受け取った人は、作成者の会話画面を開かなくても、公開されたWebサイトやアプリなどを確認できます。チームのメンバーへ試作品を見せたり、ほかの人に実際の操作を試してもらったりする場面で役立ちます。
また、利用者が持っている独自ドメインを使って公開する方法も案内されています。独自ドメインとは、企業名やサービス名などを入れた専用のWebアドレスです。ただし、独自ドメインを利用するための細かな設定や、外部サービスとの契約が必要かどうかは、公式の紹介ページだけでは確認できません。
公開する前には、リンクを知っている人がどこまで見られるのか、入力された情報がどのように扱われるのか、公開してはいけない情報が含まれていないかを確認する必要があります。
Build Modeを安心して使うために確認したいこと
Build Modeは、アイデアを短時間で動く形にできる便利な機能ですが、表示されたものを確認せずに公開することは避けたほうがよいでしょう。xAIの利用規約では、AIが作った内容に間違いや不具合が含まれる可能性があり、利用や共有の前に人が正しさや目的に合っているかを確認する必要があると説明されています。早期ベータ版についても、エラーや不具合、情報の消失などが起こる可能性が示されています。
公開前には、ボタンが正しく動くか、計算結果に間違いがないか、スマートフォンでも読みやすいかなどを確認することが大切です。外部サービスと接続する場合は、入力した情報が接続先へ送られることがあります。社内だけで使う情報や個人情報を扱う場合は、接続先の利用規約や情報管理の方法も確認する必要があります。
また、Grokが作った内容を公開する場合は、xAIの利用規約やブランドに関する決まりも確認する必要があります。公式のブランドガイドラインでは、Grokが作った文章や画像を公開するときに、「Written with Grok」または「Created with Grok」とわかるように表示するよう案内しています。ロゴやGrokの名前を使う場合にも決まりがあります。
Build Modeは、すべてを自動で任せる機能ではなく、試作品を早く作り、人が内容を確かめながら直すための手段として使うことが現実的です。早く作れる良さと、公開前の確認を組み合わせることが、安全で役立つ活用につながると考えられます。
今後の展望
Build Modeは、Webサイトやアプリを作る時間を短くするだけでなく、企画の進め方やデータの使い方にも変化を与える可能性があります。ここからは、公式に発表された機能をもとに、今後考えられる活用方法を3つの視点から紹介します。
動く試作品が話し合いをわかりやすくする
Build Modeの活用が広がると、企画を文章や図だけで説明するのではなく、実際に触れられる試作品を見せながら話し合う機会が増えると考えられます。新しいサービスや社内ツールを考えるときは、同じ説明を聞いても、人によって思い浮かべる完成形が異なることがあります。文章では伝わりにくい画面の動きや操作の流れも、実物に近い試作品があれば確認しやすくなります。
たとえば、店舗向けの予約画面を考える場合、企画担当者は必要な機能を文章で説明できます。しかし、実際に画面を見てみると、予約ボタンが見つけにくい、入力する項目が多い、説明がわかりにくいといった問題が見つかることがあります。Build Modeを使って早い段階で試作品を用意できれば、完成後に大きく作り直す前に、こうした問題へ気づける可能性があります。
また、営業、管理、現場、開発など、役割の異なる人が同じ画面を見ながら意見を出せる点も大きな変化です。作成したものをリンクで共有できるため、同じ場所に集まれない人にも確認を依頼できます。変更したい部分が見つかれば、その内容をGrokへ伝えて新しい画面を試す流れも考えられます。
ただし、Build Modeを使うだけで意見が自然にまとまるわけではありません。誰のために作るのか、何を確かめたいのか、どの意見を取り入れるのかを決める人は必要です。Build Modeは、会議を自動で進める道具ではなく、関係者が同じものを見ながら話すための共通の材料として役立つ可能性があります。これは公式に効果が保証されたものではなく、発表された制作と共有の機能から考えられる今後の使い方です。
小さな組織でもアイデアを試しやすくなる
Build Modeは、専門の開発担当者が少ない個人や小さな組織にとっても、新しいアイデアを試すきっかけになると考えられます。これまでは、簡単なWebサービスや管理ツールを作る場合でも、制作会社への相談、費用の見積もり、細かな仕様の決定などが必要になることがありました。まだ役立つかわからない企画に、最初から多くの時間や費用をかけることは簡単ではありません。
Build Modeでは、作りたい内容を文章で伝え、動く試作品を作れます。そのため、たとえば地域の活動を案内するページ、参加者が予定を確認する画面、学習内容に合わせた計算ツールなどを小さく試す使い方が考えられます。利用する人に触ってもらい、必要な機能や使いにくい部分を確認できれば、正式な制作へ進むべきかを判断しやすくなります。
学校や研修の場では、説明を読むだけではわかりにくい内容を、操作しながら学べる教材として試す可能性もあります。たとえば、数字を変えると結果が変化する仕組みや、物の動きを確認できる画面があれば、学習者が自分で試しながら理解できます。公式ページで紹介されている3Dの物理空間やシミュレーションは、こうした使い方を考える材料になります。
ただし、Build Modeが専門家を完全に置き換えるわけではありません。決済、個人情報、重要な業務データなどを扱う場合は、安全性や法律、運用方法に詳しい人の確認が必要です。また、現在は早期ベータ版であり、仕事や商用目的での利用条件も確認しなければなりません。今後、正式な提供範囲や契約条件が整えば、小さく試してから専門的な開発へつなげる流れが広がる可能性があります。
必要なデータを現場で確認しやすくなる
Build Modeの今後を考えるうえでは、企業や組織が持つデータの見せ方が変わる可能性にも注目できます。xAIは、接続機能を使って業務に必要なデータを取り込み、更新されるグラフや、条件を選んで表示内容を変えられる画面を作れると案内しています。必要な情報をすぐに見られるようになれば、数字を集めて報告書を作る作業を減らせる可能性があります。
たとえば、店舗では日ごとの売上だけでなく、時間帯による利用の違いや商品の動きを1つの画面にまとめる使い方が考えられます。問い合わせを受ける部署では、相談の件数や内容の変化を確認し、対応が遅れている分野を見つける画面を作る方法も考えられます。毎月の報告書が完成するまで待つのではなく、必要なときに状況を確認できれば、問題への対応を早めやすくなります。
さらに、見る人の役割に合わせて情報を整理する使い方も考えられます。経営を担当する人には全体の流れ、店舗の責任者には担当店舗の状況、現場の担当者にはその日に確認する項目を見せる形です。ただし、役割ごとに表示を変える具体的な機能が公式に発表されているわけではありません。データをグラフや絞り込みができる画面に変えられるという説明から考えられる将来の使い方です。
データを見やすくしても、元の数字が間違っていれば正しい判断はできません。どこから取得した情報なのか、いつ更新されたのか、どのような計算を行ったのかを確認できる仕組みが必要です。また、外部サービスへデータを送る場合は、接続先での情報の扱いも確認しなければなりません。
今後は、一部の担当者だけが報告書を作る形から、現場で働く人が必要な情報を自分で確認し、日々の改善に役立てる形へ変わる可能性があります。Build Modeは、データの分析をすべて自動化する道具ではなく、情報を見やすくし、話し合いや判断を助ける画面を作るための手段として使われていくと考えられます。