2026年8月13日、株式会社NTTドコモと半熟仮想株式会社が共同執筆したAI論文が、国際会議「IJCAI(※1) 2026」に採択されたと発表された。過去データから施策の効果を高精度に事前評価する新技術に関する研究成果である。
過去データから長期効果を正確シミュレーション 新AI手法が国際学会で高評価
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)と半熟仮想株式会社(以下、半熟仮想)は、過去のサービス提案や情報提供のデータを活用し、新しい施策の効果を事前に評価・最適化するAI技術を開発した。久保田匡亮氏、髙橋実宏氏(いずれもドコモ)、齋藤優太氏(半熟仮想)による共同論文が、2026年8月15日から21日にドイツで開催される世界最高峰のAI国際会議「IJCAI 2026」に採択されている。
本研究の核心は、「オフ方策評価(※2)」において「期間の長さ」に伴う効果を正確に割り出す分析手法の確立だ。従来の評価では、サービスの継続利用期間や特典利用までの期間といった一定時間を要する効果を分析する際、観測時点で結果が確定していないデータが含まれることで、期間の長さが過小評価される課題が存在していた。
両社はこの未確定データの影響を適切に補正する新たなアルゴリズムを構築した。これにより、施策直後の単発的な反応だけでなく、サービス継続などの長期的な影響を高度にシミュレーションすることが可能となった。
※1 IJCAI:人工知能(AI)分野における最高峰の国際会議の一つ。2026年大会は欧州人工知能会議(ECAI)との合同開催としてドイツの会場にて実施される。
※2 オフ方策評価:実際に新しい施策を実行することなく、過去に収集された運用データのみを用いて提案手法の期待効果をシミュレーションし、比較検証するAI技術のこと。
顧客満足度向上とコスト最適化に強み 実用化に向けた運用面の検証が今後の焦点
今回確立されたAI評価技術は、多様なデジタルサービスや顧客施策の立案プロセスに革新をもたらすと考えられる。
最大のメリットは、マーケティングにおける試行錯誤のコストやリスクを大幅に低減できる点にあると言える。実際の顧客へ施策を試す前に過去データ上で長期的な継続効果まで精度高く検証できるため、ユーザー一人ひとりのニーズに応じた無駄のない最適な情報提案の実現につながると期待される。これにより、LTV(顧客生涯価値)の最大化や高い顧客満足度の維持が見込まれる。
一方で、理論モデルから事業現場への展開にあたっては、データ収集基盤の構築や計算リソースの確保といったシステム面での実装課題が予想される。また、予期せぬ市場環境の変化が生じた場合におけるシミュレーション精度の担保なども検討の余地を残すと言えそうだ。
今後は、ドコモが目指す事業サービスへの実用化に向けた実証実験の動向が注視される。研究段階から事業現場での高度なAI活用へと移ることで、マーケティング手法のデジタルトランスフォーメーションが一段と加速する可能性がある。
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