2026年10月1日、秋田県秋田市と住友商事、株式会社NearMe(ニアミー)は、同市の「マイタウン・バス北部線」にてAIオンデマンド運行と貨客混載を組み合わせた実証運行を開始した。配車システムを担うニアミー初の実証事業となる。
秋田市北部でAIオンデマンド配車とネットスーパー配送を統合
本実証運行は、これまで定時定路線で運行されていたマイタウン・バス北部線を、利用者の予約に応じて走行ルートを組み立てるAIオンデマンド(※)型へ刷新する試みである。対象エリアは秋田市北部の金足や土崎など7地区(人口約5万人)に及ぶ。利用者は電話またはLINEを用いて手軽に乗降場所や時間を指定して予約でき、住民の利便性向上が図られる。
さらに本取り組みでは、旅客輸送の隙間時間を有効活用し、地元スーパー「ナイス」のネットスーパー注文商品を同一車両で注文者へ届ける。配車システムを手掛けるニアミーの最適化エンジンが、人の移動だけでなく生活物資の配送も一括して管理する仕組みだ。当日午前に確定した商品を車内に積み込み、乗客の移動を妨げない時間帯や範囲内で順次配送していく。
背景には、人口減少やドライバー不足に伴う地域交通の維持困難と、買い物の利便性確保という課題が存在する。本事業は秋田市が事業主体となり、公募業務を受託した住友商事のプロジェクト「Mile One」として推進され、運行業務はキングタクシーが担う。2027年3月31日までの実証を通じ、限られた輸送資源を最適活用するモデルを検証する。
※AIオンデマンド:人工知能(AI)を活用し、利用者の予約状況に応じて最適な運行ルートや時間をリアルタイムで組み立てる輸送サービス。
地域交通の維持と物流効率化を両立 持続可能な公共モデルに期待
過疎化と少子高齢化が進む日本の地方都市では、路線バスの廃止や減便が大きな課題として認識されつつある。そうした状況下で、1台の車両とドライバーという限られた輸送リソースを「人と荷物」で分かち合う試みは、有効な解決策の一つとなり得る。従来は別々に動いていた移動と物流を統合することで、運行コストの削減や事業性の向上が期待される。
利用者側にとっても、指定した場所へ柔軟に移動できるようになるほか、ネットスーパーの配送網維持につながる点はメリットと考えられる。外出が困難な高齢者らの生活を支えるインフラとして機能する可能性も期待できそうだ。
一方で、旅客の乗り降りと配送ルートの調整においては、丁寧な運用が必要になるとみられる。時間帯によっては乗客の乗車ルートと商品の配送先が分散し、配送の遅延や車内の狭窄感を招くリスクも否定できない。リアルタイム相乗りの最適化技術がどこまで円滑に機能するかが、本格普及に向けた焦点となりそうだ。
今回のモデルが成果を上げれば、同様の課題を抱える全国の地方自治体へ水平展開される可能性もある。地方交通の維持と生活利便性の向上を両立させる本試みの今後の推移が注目される。
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