中国Tencentは高度推論AI「Hy3」の国際提供拡大を発表した。世界のユーザーはWorkBuddyで8月31日まで無料利用でき、Tencent CloudやAPI経由でも導入可能になる。
Hy3を世界展開、複数サービスから利用可能に
2026年8月5日に拡大が発表されたHy3は、7月6日に正式公開されたTencentの最新AIモデルで、旧称はTencent Hunyuanである。今回の展開により、AIエージェント基盤「WorkBuddy」、クリエイティブ制作環境「Tencent Design Miora」、クラウド型モデル基盤「Tencent Cloud TokenHub」から利用できるようになった。
開発者向けにはAPIも用意され、各種開発環境やコーディング拡張、外部プラットフォームへの組み込みにも対応する。
モデルは高速処理と深い推論を切り替えるMixture-of-Experts(MoE)(※)構成を採用し、総パラメータ数2950億、処理時に有効化するパラメータは210億。最大256Kのコンテキスト長を備え、推論、命令理解、コード生成、エージェント処理などで大型モデルに匹敵する性能をうたう。
公開後1週間でOpenRouterのLLM利用ランキング首位を記録し、API呼び出し数は前世代比68倍超に達したという。
WorkBuddyではTencent社内評価でタスク成功率90%超、平均完了時間を前世代比34%短縮した。世界向けのWorkBuddyでは8月31日(太平洋時間)まで無料で試用できる。
※MoE:複数の専門化したニューラルネットワーク群から、入力内容に応じて一部だけを選択して動かすAI構造。総パラメータ数を大きく保ちながら、計算量や推論コストを抑えやすい特徴がある。
低コスト推論が企業AI導入を後押し、競争激化も
Hy3の強みは、高度な推論性能だけでなく、複数の業務基盤へ直接つなげられる実装性にある。WorkBuddyでは調査、データ分析、資料作成などを自然言語で処理でき、Mioraでは画像、動画、3D、UI制作までをエージェントで連携させる。単体のチャットAIではなく、業務フロー全体へ組み込む設計を前面に出している点は企業導入との相性が良い。
価格面でも、OpenRouter上のAPIは入力100万トークン当たり0.1288ドル、出力は0.5336ドルからとされ、大規模運用時のコスト競争力を意識した水準だ。Apache 2.0ライセンスで公開され、Hugging Faceなどの開発者コミュニティでも利用できるため、自社環境への適用や改変も進みやすい。
一方、公開ベンチマークやTencent社内評価だけでは、各業界の実務で同等の性能が再現されるかは判断しにくい。企業利用では精度に加え、データ管理、地域ごとの規制対応、既存システムとの統合性も重要になる。
Tencentがクラウド基盤と地域パートナーを組み合わせて海外展開を進めれば、OpenAIやGoogle、Anthropicなどが競う企業向けAI市場で、価格と運用性を軸に存在感を高める可能性がある。
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