中国AI企業DeepSeekは新モデル「V4.1-Flash」を発表した。
5,520億パラメータのMoEを採用し、画像理解を含むネイティブなマルチモーダル対応と高い推論効率を特徴としている。
非対称設計で高性能と低コストを両立
DeepSeekが2026年9月10日に発表したV4.1-Flashは、新アーキテクチャファミリーの最小モデルに位置付けられる。
総パラメータ数は5,520億で、MoE(※)と新たなCausal Encoder–Decoder構成を採用した。
入力時に稼働するパラメータは80億、出力時は160億に抑え、ネイティブな画像理解にも対応する。
新しい事前学習手法と、より大規模な強化学習によるポストトレーニングも導入した。
DeepSeekによれば、ベンチマークではDeepSeek-V4-Proを含むフラッグシップモデルを上回り、複数の第三者テストでも性能、コスト、速度、総実行時間の全項目でV4-Proを上回ったという。
KVキャッシュも大幅に圧縮した。前世代と比べ、必要なHBMは4分の1、SSDストレージは8分の1となり、キャッシュ利用が多いAIエージェントの運用コスト削減につなげる。
V4.1-FlashはDeepSeek APIですでに提供されており、モデル名は「deepseek-flash」となる。
V4-FlashとV4-Flash-Vision-Expは提供を終了し、互換性維持のため旧モデル名へのリクエストは当面V4.1-Flashへ転送される。
また、V4-Proも段階的に廃止され、2026年9月14日04:00UTC以降はすべてのdeepseek-v4-proリクエストをV4.1-Flashへルーティングする。
料金もV4.1-Flash体系が適用され、この措置はV4.1-Proの提供開始まで継続する。
新料金は9月10日04:00UTCから適用され、オフピーク料金はピーク時の50%に設定されている。
※MoE:Mixture of Expertsの略。複数の専門的なサブモデルから、入力内容に応じて一部だけを稼働させる方式。全パラメータを常時動かさず、計算量や推論コストを抑えやすい。
推論効率向上がAI運用の裾野を広げるか
V4.1-Flashの最大のメリットは、モデル規模を維持しながら、実際に動かすパラメータやメモリ消費を抑えている点にある。
推論コストが低下すれば、AIエージェントや大規模な業務自動化など、リクエスト量の多い用途でも採算を取りやすくなる可能性がある。
特にKVキャッシュの圧縮は、キャッシュ利用が多いAIエージェントなどで、推論時のコスト削減につながる可能性がある。
オフピーク料金との組み合わせにより、処理時刻を柔軟に調整できる企業では、APIコストをさらに抑えられるだろう。
一方で、V4-ProからV4.1-Flashへの自動移行は、既存サービスにとって検証負担を生む可能性がある。
ベンチマーク上の性能が高くても、実際の業務では出力傾向や安定性、長文処理時の挙動などを改めて確認する必要があるためだ。
今後は、対応する開発環境の拡大に加え、オープンソースでの推論環境がどこまで整備されるかが焦点となるだろう。
AIモデル競争は単純なパラメータ数だけでなく、速度、メモリ効率、API単価を含む総合的な運用効率を競う段階へ移りつつあると言えそうだ。
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