米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、AIシステムの第三者監査と独立評価を制度化する2法案に署名した。全米初となる監査基準と登録制度を整え、州法への適合性や安全性の検証を強化する。
第三者監査を制度化、AI評価機関・監査人の枠組み整備
2026年9月9日に成立が発表されたのは、上院法案813(SB 813)と下院法案1405(AB 1405)である。SB 813は、AIシステムやモデルが州法に適合しているかを独立して評価する第三者検証機関の枠組みを設けるものだ。一方、AB 1405はAI監査人の州登録制度を新設し、独立性、透明性、誠実性に関する基準を定める。
両法により、AI企業自身の自己評価だけに依存せず、外部監査を通じてリスクや事業者の主張を検証する仕組みを整える。ニューサム知事は、AIの便益を認めつつ、技術の進歩速度と影響範囲を踏まえれば、州だけでなく連邦政府にも強力な全国規制が必要だと訴えた。
発表では、カリフォルニア州が規制を段階的に拡充してきたことにも触れられ、2023年以降、行政での安全なAI利用、ディープフェイクや電子透かし、子ども・労働者保護などに取り組んできたことが示された。
発表では、最近のAI関連事案で浮上した懸念について、「カリフォルニア州が長く認識してきたことを裏付けるもの」と位置付け、これまでの取り組みの先進性を強調した。
上院法案813を提出したマクナーニー上院議員は、「ワシントンD.C.が対応できない、あるいは対応する意思がない中で、カリフォルニア州がAIの安全リスクの評価において先導していることを明確に示すものです」として、連邦政府の対応の遅れと、カリフォルニア州の先行姿勢を対比した。
※第三者監査:AIを開発・提供する事業者とは独立した外部機関が、安全性や法令順守、事業者の説明内容などを確認する仕組み。自己評価だけでは見落としや利益相反が生じる可能性があるため、客観性を補う役割を持つ。
透明性向上の一方、監査の実効性と全国統一が課題
第三者監査の制度化は、AIが行政や重要インフラ、生活サービスへ深く組み込まれるほど意味を持つ。開発企業とは別の主体が安全性や法令順守を確認すれば、利用者や企業がAIを採用する際の判断材料が増え、不具合や重大リスクの早期発見にもつながる可能性がある。
一方で、監査制度を設けるだけでは十分とは限らない。高度なAIを評価できる人材や技術、検証手法が不足すれば、登録制度があっても形式的な確認にとどまる恐れがある。
また、急速にモデル能力が変化する中で、監査基準をどの頻度で更新し、どこまで事業者へ情報開示を求めるかも重要になる。
州単位で規制が進めば、企業は地域ごとに異なる基準へ対応する必要が生じる。
今後は、イノベーションを過度に抑えず、独立監査を実効性ある仕組みにできるかが、米国のAI規制を左右する焦点になりそうだ。
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