中国AI企業DeepSeekは「DeepSeek-V4-Pro」の正式版をアプリ、Web、APIで一般提供した。
Agent性能を大幅に強化したほか、Responses APIへのネイティブ対応やThinking Effortの選択機能を追加し、実務利用の柔軟性を高める。
DeepSeek-V4-Pro、Agent性能を大幅強化
2026年8月13日に提供開始した「DeepSeek-V4-Pro」の正式版では、複数のツールや環境を利用して処理を進めるAgent機能が重点的に強化され、本番環境における性能向上が図られた。
公開された評価では、Terminal Bench 2.1で87.9、Cybergymで83.3、Toolathlon-Verifiedで74.1を記録した。
DSBench-FullStackは71.1、DSBench-Hardは67.2となり、HLEではツールなしで42.7、ツールありで60.0を示している。
このほか、NL2Repoは61.5、DeepSWEは62.7、Agents’ Last Examは25.7、AutomationBenchは31.8だったという。
APIではOpenAI Responses API形式(※)をネイティブでサポートし、Codex向けの最適化も実施された。
APIの呼び出し方法に変更はなく、モデル名を「deepseek-v4-pro」に設定することで最新版を利用できる。
また、V4-ProとV4-FlashのThinkingモードでは、推論量をlow、high、maxの3段階から選択可能になった。
単純なタスクはlow、日常的なAgent処理はhigh、複雑な処理はmaxといった形で、用途に応じた使い分けが想定されている。
料金面では、V4モデルファミリーの正式リリースに伴い、2026年8月16日16時(UTC)からピーク・オフピーク制が導入された。
オフピーク時間帯のAPI料金はピーク時の半額となり、利用者がタスクの実行時間を調整できる仕組みとなっている。
※Responses API:AIモデルへの入力や応答生成、ツール利用などを一連の処理として扱うAPI形式。複数の工程や外部ツールを組み合わせるAgent型アプリケーションの構築などに活用できる。
性能とコストを使い分ける運用が普及の鍵に
DeepSeek-V4-Proの強化は、AIを質問への回答だけでなく、複数工程を自律的に処理する業務へ組み込む企業にとってメリットが大きそうだ。
Thinking Effortをタスクごとに変更できれば、簡単な処理に過剰な推論リソースを使わず、難しい業務に計算量を集中させられるだろう。
Responses API形式への対応も、既存のAgent開発環境へDeepSeekを組み込みやすくする要素になり得る。
特定モデルへ固定するのではなく、性能や用途、コストに応じて複数モデルを選択する開発スタイルが広がれば、DeepSeekが選択肢に入る場面も増えると考えられる。
一方、Agentが長時間かつ複雑な処理を担うほど、推論量やAPI利用量の増加によるコスト管理は課題になり得る。
maxを多用すれば高性能を引き出しやすい反面、すべてのタスクで高度な推論が必要とは限らない。
その点、オフピーク料金を半額とする仕組みは、緊急性の低い処理を安価な時間帯へ移す動機になるだろう。
今後はベンチマーク上の性能だけでなく、Agentの安定性や処理時間、API料金を含む総合的な運用効率が、企業から採用されるための要因の一つになりそうだ。
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