2026年9月1日、ナビタイムジャパンと日本テクトシステムズは、埼玉県さいたま市のひなぎく幼稚園にて『送迎バスクラウド by NAVITIME』と音声解析AIアプリ『ONSEI Pro』を連携させた実証実験を開始した。
運行と状態管理を統合 AIで挑む通園バス安全運行モデルの全貌
本実証実験は、ドライバーの人手不足や高齢化が深刻化するなか、子どもを乗せる通園バスの客観的かつ高度な安全運行体制を構築することを目的に始動した。
従来、通園バスの運行管理ではルートや乗降管理といった「運行の効率化」が主流であり、ドライバー自身の疲労や認知機能の変化といった「人の状態管理」までを日常業務の中で可視化・追跡する仕組みは十分に整備されていなかった。
今回の連携では、ドライバーが端末のアプリから声で質問に回答し、AIが音声と回答内容を多角的に判別(※)する。測定データはクラウド上の管理画面に直接集約され、運行管理者が一元的に確認してドライバーへフィードバックを行う運用フローを構築した。
実際の現場では通園バスドライバー3名を対象とし、2026年10月31日までの期間、毎週月曜・金曜の登園・降園バス運行前の朝夕2回という高頻度での測定を実施する。現場の運用負担を検証しつつ、データに基づく客観的な乗務判断と安全管理の一体化を目指す。
※音声解析AI:スマートフォンのマイクから取得した音声データや回答内容を解析し、日常の揺らぎに隠れた機能変化や傾向を客観的に可視化・判別する技術。
日常的なチェックがもたらす効果とリスク 今後の展開と波及効果
本取り組みが期待される最大のメリットは、週2回・朝夕という高頻度測定によって日々の小さな変化を捉え、適切な乗務判断の客観的根拠とし得る点にある。定期的なセルフチェックはドライバーの体調管理への関心を高め、ヒューマンエラーの防犯や意識変容を促すと考えられる。また、安全運行データと認知機能スコアの相関傾向が把握できれば、事故リスクの未然防止にも大きく貢献する可能性がある。
一方で、業務前の測定作業やアプリ運用が現場のドライバーおよび運行管理者の負担となり、形骸化するリスクには留意が必要と言える。別アプリでの測定を日々の運行フローへスムーズに定着させられるかが実用化への課題となる。
今後は実証実験のフィードバックを基に正式なサービス化を進め、将来的には全国の幼稚園や保育施設への展開を目指す方針だ。デジタル技術による安全強化が進めば、保護者の安心感を高めるだけでなく、高齢ドライバーが長期間にわたって安心して活躍できる社会の実現につながると考えられる。
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