2026年8月30日、株式会社ダイレクトクラウドは、キヤノンマーケティングジャパン株式会社向けに「SmartFiling AI Powered by DirectCloud」を同年9月7日より提供開始すると発表した。日本国内のオフィスで広く使われる複合機を起点とし、紙や電子文書をAIで活用可能にする新たな試みである。
紙文書の「保存」から「活用」へ 複合機と生成AIが融合する新サービス
本サービスは、オフィス向け複合機(MFP)と法人向けクラウドストレージ「DirectCloud」、および生成AI機能「DirectCloud AI」を連携させたソリューションである。企業内に大量に存在する契約書や請求書などの文書は、従来のデジタル化においては「スキャンして保存する」段階にとどまる傾向があった。今回の新モデルでは、複合機を企業文書のデジタル入口としてクラウドへ集約し、蓄積されたデータを「活用できる業務データ」へ転換することを目指す。
具体的には、複合機連携用フォルダーを経由して読み取られたデータが、直接クラウド上の共有環境へつながる仕組みだ。ファイル名だけでなく、文書内の文字列を対象とした全文検索(※)機能により、過去資料の探索にかかる時間を削減する。
さらに、RAG(※)や対話型UI、Web検索などのAI機能により、保存文書からの情報抽出や整理をAIが支援する。スタンダードプランではAIチャットボットも利用可能だ。オンライン編集やファイル共有の一元化に加え、SSO連携やランサムウェア対策といった高度なセキュリティ機能も網羅している。
※全文検索:ファイル名だけでなく、文書内に含まれるすべての文字列を対象として目的の情報を探し出す検索手法。
※RAG:検索拡張生成の略。外部のデータベースや文書から関連情報を検索し、そのデータに基づいて生成AIが正確な回答を作成する技術。
DX推進のハードルを激減 実務定着への波及効果と導入側の課題
本サービスの大きな導入メリットは、現場の業務負荷を大幅に低減できる点にあると考えられている。ペーパーレス化が進む一方で、PDF化された過去資料の埋没や管理の手間といった課題が後を絶たなかった。さらに生成AIの導入には、データ整備や運用体制の構築など多大なハードルが存在する。日常的に利用されるオフィス複合機とAIをシームレスに結合する本アプローチは、企業のAI活用を急速に後押しする可能性を秘めている。
一方で、懸念されるデメリットや課題も存在する。AIの検索精度や対話機能の利便性は、元となる文書データの質や構造に一定程度依存せざるを得ない。また、社内文書を一元管理する以上、アクセス権限の設定漏れによる情報漏洩や、シャドーIT化を防ぐガバナンス構築が運用上の重要テーマとなる。
将来的には、キヤノンMJの強力な販売ネットワークを通じて1年間で300社の導入を目指す計画であり、オフィス機器の役割そのものが大きく変化していくと予測される。単なる「印刷・スキャナー」から「社内ナレッジの生成拠点」へと進化を遂げることで、企業のDXはより現実的かつ身近なレベルへと移行していく可能性がある。
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