2026年8月31日、千葉県旭市とNECネクサソリューションズは、対話型音声AIエージェント「DEN.Ai」を活用した問い合わせ対応の実証実験を2026年9月17日に開始すると発表した。代表電話を起点に、市民サービス向上と職員の負担軽減を目指す取り組みである。
旭市、代表電話をAIの入口に問い合わせ対応を効率化
今回の実証では、市役所代表電話を想定したAI専用電話窓口を設置する。市民が任意で利用すると、DEN.Aiが問い合わせ内容を理解し、登録されたFAQなどの情報をもとに回答する仕組みだ。
AIだけでは回答が難しい場合や、個別事情の確認、専門的な相談が必要なケースでは、内容に応じて本庁舎1階・2階の適切な担当部署へ転送する。つまり、AIがすべてを処理するのではなく、一次応対と職員による専門対応を組み合わせる点が今回のモデルの特徴となる。
対象業務には各部署への電話交換に加え、市民生活課関連のマイナンバーカード、住民登録、印鑑登録、証明書の郵送請求が含まれる。実証期間は9月17日から10月31日までの予定で、既存の代表電話や各課直通電話も従来どおり運用する。
背景には、少子高齢化や人口減少による人材不足と、行政手続きや制度の複雑化がある。問い合わせ先が分からない、閉庁時間には相談できないといった市民側の課題に加え、職員側にも担当部署への取り次ぎや定型的な問い合わせへの対応負担が生じている。
24時間AIが変える住民対応 利便性と運用課題を検証
DEN.Aiは24時間365日の対応が可能であるため、閉庁時間帯を含めて必要な情報へアクセスできる環境づくりにつながる可能性がある。問い合わせ先を市民自身が探す負担を減らせれば、行政サービスの入口そのものを分かりやすくする効果も期待できる。
職員にとっても、定型的な質問や電話交換をAIが担うことで、個別案件や専門的な相談に集中しやすくなる。代表電話を単なる受付窓口ではなく、AIによる案内と担当部署への接続を行うフロントヤード(※)として位置づける点は、自治体の問い合わせ対応を見直す契機になりそうだ。
一方、AIによる回答の正確性や、複雑な相談を適切な部署へつなぐ判断の妥当性は、実運用で確認すべきポイントになる。登録情報だけでは判断できない個別事情への対応や、AIから職員へ切り替える際の運用設計も重要だ。
今回の実証は、AI導入そのものではなく、市民と職員の双方にとって使いやすい問い合わせ対応モデルを検証する取り組みである。旭市とNECネクサソリューションズが得る知見は、将来的な住民対応の高度化や自治体フロントヤード改革へつながるか。注目が集まる。
※フロントヤード:自治体と住民が最初に接する窓口や問い合わせ対応など、行政サービスの入口にあたる領域。