KDDIと三菱商事は、日本国内でリテールメディア事業を開始すると発表した。合弁会社クインタを通じ、ローソン店内の「ローソンビジョン」で広告や生活情報を配信し、2027年夏までに首都圏・関西圏を中心に3000店舗へ広げる。
スマホと店頭を接続、購買前後まで広告効果を分析
2026年9月1日の発表において活用される「ローソンビジョン」は、店舗内に設置したデジタルサイネージを使うコンテンツ配信サービスだ。デジタルサイネージとは、ディスプレイなどの電子表示機器を使い、広告や案内、動画などを配信する仕組みで、内容を時間帯や場所に応じて切り替えられる。
ローソンで販売する商品の案内だけでなく、店頭で扱わない商品・サービスの広告、エンタメ情報、災害を含む地域情報なども配信し、来店客との新たな情報接点をつくる方針だ。
事業を担うクインタは2026年8月設立のKDDIと三菱商事の合弁会社で、両社が50%ずつ出資している。両社は2025年度に一部店舗で実証実験を行い、新たな情報接点の創出や店舗の日販向上に有益な媒体であることを確認したという。まず2027年夏までに首都圏・関西圏を中心に3000店舗へ拡大し、その後は全国展開を目指す。
また今回は店頭広告にとどまらず、約1.2億IDのPonta会員に加え、au IDやLAWSON ID、通信・位置情報、購買データなどのデータも利活用する。来店前はスマートフォンで送客し、店頭では購買直前に訴求、来店後は購買リフトやブランド認知などを分析する。
連携において、KDDIはAIによる来店前後の行動分析などを担い、三菱商事は幅広い事業ネットワークやサプライチェーンを生かして広告主やメーカーとの連携を進める。
店舗メディアの価値拡大 データ活用と接点設計が焦点
今回の事業は、コンビニを「商品を買う場所」だけでなく、来店前後までつながる広告接点へ変える可能性がある。スマートフォンで認知を促し、店舗で購買を後押しし、その結果をデータで検証できれば、広告主は施策の効果を一連の流れとして把握しやすくなるだろう。
広告配信と購買データを結び付けられれば、販促施策の改善や顧客ニーズの把握などへ活用範囲が広がる可能性がある。
一方で、通信・位置情報、購買履歴、複数IDなどを横断して活用するほど、利用者がどの接点でどの情報を基に広告を受けているのか分かりやすくする設計が重要になる。
広告の精度だけでなく、店頭体験を損なわない配信量や内容、データ利用への納得感をどう両立するかが、全国展開と事業拡大の鍵になりそうだ。
KDDI 「三菱商事とKDDI、コンテンツ配信サービス「ローソンビジョン」を活用したリテールメディア事業始動」
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