第一稀元素化学工業は、AI・データセンター向け半導体などに使われる重要レアメタル「ハフニウム」の国内製造技術を確立した。
2026年内にサンプル提供を開始し、生産規模を拡大する技術開発を経て、2028年の国内量産化を目指す。
国内でハフニウム分離・精製、2028年量産化へ
2026年8月25日、第一稀元素化学工業は、重要レアメタルの一種であるハフニウムの国内製造技術を確立したと発表した。
エマルションフローテクノロジーズの技術協力を受け、基礎研究を経て国内での製造技術とサンプル試作技術を確立したという。
ハフニウムは、優れた電気的特性や光学特性、高い耐熱性・耐食性を持つレアメタルである。
先端半導体の高性能化や省電力化を支える高誘電率材料の主要原料として利用され、AIやデータセンター、次世代通信などの成長分野で需要拡大が見込まれている。
また、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資「重要鉱物」の対象鉱種に含まれ、安定供給の確保が求められる戦略的重要鉱物に位置付けられている。
同社は、ベトナム拠点でジルコニウム鉱石を精製して製造した中間体を日本へ運び、そこに微量に含まれるハフニウムを溶媒抽出技術(※)によって分離・精製する。
ハフニウムはジルコニウム鉱石に1~2%程度しか含まれず、両元素の性質が似ていることから、高度な分離・精製技術が必要とされている。
なお、中間体からハフニウムを分離することでジルコニウムの純度も高まり、同社主力製品のジルコニウム化合物の特性向上にも寄与できるという。
今後は2026年内に半導体用途などへのサンプル提供を開始し、生産規模拡大に向けた技術開発を進め、2028年の国内量産化を目指す。
※溶媒抽出技術:液体中の特定成分を別の液体へ選択的に移して取り出す分離・精製技術。レアメタルの精製や資源リサイクル、非鉄金属製錬など幅広い分野で利用される。
AI需要追い風、供給安定化と量産技術が焦点
今回の国内製造技術の確立は、先端産業に必要な重要鉱物の供給安定化につながる可能性がある。
とりわけAIやデータセンター向け半導体の需要が拡大すれば、国内でハフニウムを分離・精製できる技術の重要性も高まると考えられる。
今回の技術は、ジルコニウム製造の既存サプライチェーンから微量のハフニウムを分離する点にも特徴がある。
これまで中間体に含まれていたハフニウムを新たな材料として活用できるほか、分離によってジルコニウムの純度が向上すれば、ハフニウムの活用拡大とジルコニウム化合物の高付加価値化の双方につながるかもしれない。
一方、現時点で確立されたのは製造技術とサンプル試作技術であり、量産化には生産規模を拡大するための追加開発が必要になると思われる。
また、原料となるジルコニウム鉱石の精製はベトナム拠点で行われるため、国内製造だけで供給網の海外依存がなくなるわけではないはずだ。
今後は、2026年内のサンプル提供や生産規模拡大に向けた技術開発を経て、2028年の量産化へ計画通り移行できるかが焦点となりそうだ。
関連記事:
富士フイルムが大分で新棟稼働 AI需要で半導体洗浄材を3倍増産

ノルウェーが「パックス・シリカ」参加 AI資源確保で対中依存脱却が加速

NGK、700億円投じ半導体部品工場を石川に新設 生成AI需要を追い風に供給能力20%増強へ
