東京都のスプラッシュトップ株式会社が、株式会社日立ハイテクとのパートナー契約締結を発表した。両社は産業機器の遠隔監視や保守分野で協業し、社会基盤・産業技術領域におけるリモート運用の高度化を進める方針である。
日立ハイテク販売網で遠隔運用支援を拡大
スプラッシュトップは2026年5月13日、日立ハイテクとパートナー契約を締結したと発表した。人手不足の深刻化や拠点分散が進む中、現場へ赴かずに設備を管理できる体制構築が求められていることが背景にある。
今回の協業では、産業機器や設備向けリモートアクセス環境の構築支援、遠隔監視・保守サービスの高度化、エッジデバイス(※)を活用した新ソリューション展開などに取り組む。
さらに、日立ハイテクの国内販売網を通じて、スプラッシュトップ製品の販売拡大も進める計画である。
スプラッシュトップは、高速かつセキュアなリモートアクセス技術を強みとしており、従来のIT用途に加え、OT分野への展開を拡大している。
遠隔サポート機能「Splashtop Remote Support(SOS)」や、デバイス管理を自動化する「Splashtop Autonomous Endpoint Management(AEM)」を通じ、遠隔地に点在する機器運用を支援しているという。
また、スプラッシュトップはアットマークテクノの産業向けIoTゲートウェイ「Armadillo-IoT G4」において、自社ソリューションの動作検証を完了したことも明らかにした。
両社は社会基盤分野を中心に、現場のデジタル化やリモート運用普及を加速させるとしている。
※ エッジデバイス:クラウドではなく現場側でデータ処理を行う機器。通信負荷軽減やリアルタイム処理に活用される。
遠隔保守拡大で効率化進む一方、運用負荷への課題も
今回の取り組みは、産業現場における慢性的な人手不足への対応策として注目を集める可能性がある。設備点検や障害対応を遠隔化できれば、現地移動の負担を減らしながら、保守対応の迅速化につながる余地があるためだ。
特に複数拠点を抱える企業では、運用効率改善への期待が高まりそうである。
一方で、遠隔運用の普及には安定した通信と高度なセキュリティ対策が不可欠になるとみられる。社会インフラに関わる設備は停止時のリスクが大きいため、導入企業はより慎重な管理体制が求められるだろう。
また、OT領域は古い設備が残るケースも多く、新旧システムの連携が課題になることも考えられる。既存設備との互換性やノウハウ不足により導入が難航することもあり得るため、ツール単体の配備以上に現場運用を見据えた全体設計が重要になりそうだ。
それでも、産業保守の効率化需要は今後も拡大する可能性があり、遠隔監視や自動化技術の活用は限られた人員で設備を維持する有力な選択肢となり得る。
両社の協業は、単なる遠隔接続サービスの提供にとどまらず、日本の産業インフラ運用モデルを変える一歩になるかもしれない。
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