日本のリコージャパンは、流通業向け「施設環境見える化・熱中症アラートパック」の提供開始を発表した。温湿度を常時監視し、暑さ指数が閾値を超えると光・音・音声で知らせることで、店舗や倉庫の熱中症対策を支援する。
温湿度を自動監視、複数手段で現場へ通知
2026年8月6日に発表された新サービスは、既存の「施設環境見える化パック」に、パトライト信号灯やインカムシステム「VOYT CONNECT」との連携機能を追加したパッケージである。
「RICOH EH環境センサー」などで温度・湿度を自動収集し、クラウドサービス「RICOH EH SensorCloud 2」で一元管理する。暑さ指数(WBGT)(※)などがあらかじめ設定した閾値を超えた場合、メールに加えて、信号灯による光・音・音声、スマートフォンをインカムのように使うVOYT CONNECTによる音声通知が可能になる。
対象として想定されるのは、物流倉庫や店舗バックヤード、総菜調理場など、高温環境での作業が発生しやすい流通現場だ。
背景には、2025年6月の改正労働安全衛生規則の施行がある。従来は管理者による水分補給や休憩の呼びかけに頼るケースもあり、異常を客観的に捉え、現場へ素早く共有する仕組みが課題となっていた。
企業の対応が求められるなか、現場の監視と通知を仕組み化する需要に応えるパッケージとなる。
※WBGT:気温だけでなく湿度や日射・輻射熱なども考慮し、人体が受ける暑熱ストレスを評価する指標。熱中症予防の判断材料として用いられる。
人手依存を減らす一方、運用設計が効果を左右
今回のパッケージの利点は、熱中症対策を管理者の経験や注意力だけに依存せず、データと自動通知を基準に運用できる点だ。特に広い倉庫や複数の作業区画を持つ店舗では、危険度の上昇を早期に把握しやすくなり、休憩や水分補給、作業中断などの判断を迅速化できる可能性がある。
また、メールだけでは見落とされやすい現場でも、信号灯や音声を組み合わせることで通知の到達率を高められる。既存のクラウド管理と現場向け警告を接続した点は、流通業の安全管理をデジタル化するうえで実務的な強みと言える。
一方、センサーを設置する場所や閾値の設定が不適切であれば、実際の作業環境と警告内容にずれが生じる恐れは無視できない。通知が頻発すれば現場が慣れて反応しにくくなる可能性もあり、導入後の調整や運用ルールの設計は欠かせないだろう。
今後は、単なる温湿度の可視化から、設備や作業データと連携した安全管理へ発展する余地もある。人手不足が続く流通現場では、こうした環境監視の自動化が、安全対策と業務効率化を両立する基盤として定着するかが焦点になる。
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