2026年8月20日、米Slackは、AIエージェントとチームが同じ場所でソフトウェア開発を進める新機能「Slack Code」を発表した。AnthropicやOpenAI、GitHubなどと連携し、AIとの作業を個人のプライベートな画面からSlack上の共有空間へ移す。AIを単なる自動化ツールではなく、チームメートとして組み込む新たな開発モデルを打ち出した。
AIとの開発を専用チャンネルで共有
Slack Codeの中核となるのが「コードチャンネル」である。複雑な開発プロジェクトでコーディングエージェントをメンションすると、タスクごとの専用スペースが作成され、必要なチームメンバーが参加できる仕組みだ。
エージェントはコードの差分、計画文書、ライブHTMLプレビューなどをチャンネル内に集約する。開発者だけがAIとのやり取りを進めるのではなく、他のメンバーも途中から進捗を確認し、前提条件の誤りを指摘したり、追加のコンテキストを提供したりできる点が特徴となる。
作業完了後、チャンネルは自動的にアーカイブされる。一方で履歴はSlack上に残り、後から検索や参照が可能だ。Slackによると、社内で利用されたコードチャンネルの70%以上は、アイデアの創出からプルリクエスト(※)のマージまでを1日以内に完結しているという。
通常のスレッドでは複雑なAIエージェントの実行履歴が煩雑になりやすい一方、個別のブラウザタブで作業すればチームとの情報共有が失われる。Slack Codeは、その間に専用の共同作業空間を設けることで、AI活用の速度とチーム開発の透明性を両立させる狙いである。
※プルリクエスト:ソフトウェアのコード変更内容を共有し、他の開発者にレビューや統合を依頼する仕組み。
AIエージェントが「同僚」になる可能性
Slack CodeはAnthropic、Cognition、GitHub、OpenAI、Vercelとともにローンチした。Claude、Devin、GitHub Copilot、ChatGPT by OpenAI、Vercelの各サービスをSlack上でメンションすることで、コードチャンネルを起動できるとしている。
例えば、技術者以外のメンバーが平易な言葉で課題を説明し、AIに修正案を作成させた後、エンジニアへレビューを依頼する使い方も想定される。コードの変更後にはライブプレビューを共有し、利用者に届く前に結果を確認することも可能になる。
さらにSlackは、DMやスレッド、コードチャンネルをまたぐAIエージェントとのやり取りを管理する「エージェントとツール」タブも展開する方針だ。将来的には、マーケティング、法務、IT研修など、ソフトウェア開発以外への拡大も視野に入れる。
メリットは、AIによる作業がブラックボックス化せず、チーム全体が途中経過に関与できることだろう。一方で、エージェントの利用範囲が広がれば、会話量や確認すべき情報も増える可能性がある。Slack既存の権限や管理機能を継承しつつ、AIの自律性と人間による監督をどう両立するかが、今後の重要な課題となりそうだ。