2026年8月19日、国内企業のセーフィーは、クラウドカメラ映像からクマを自動検知し、管理者へ即時通知する「AI-App クマ検知」を9月1日より提供開始すると発表した。既設カメラを活用できるため導入負担を抑え、自治体や学校、建設・交通インフラなどで迅速な初動対応を支援する。
AIがクマを検知、通報待ちの課題を解消
今回提供する「AI-App クマ検知」は、クラウドカメラの映像と独自AIを組み合わせ、映像内のクマを自動で検知するサービスである。夜間撮影に対応したカメラと組み合わせれば、昼夜を問わず広範囲を監視でき、市街地や山間部での出没確認を自動化できる。
背景には、全国各地で深刻化する「アーバンベア」と人身被害がある。本年のクマ出没情報は6,000件を超え、令和6年、7年の同時期と比べて倍増しているという。
従来は目撃者からの通報を起点とする対策が中心だったが、通報時にはすでにクマが移動している場合や、夜間・山間部で発見自体が遅れる課題があった。
検知後は管理者へのメール通知に加え、Webhook(※)を通じて社内チャット、警戒アラート灯、電光掲示板などの外部設備とも連動可能だ。検知結果はクラウド上で一括管理できるため、状況確認から関係者への情報共有、初動判断までをつなげられる。
本サービスは、開発者向けAIソリューションプラットフォーム「Safie AI Studio」上で動物検知AI技術を活用して開発された。既設カメラで利用できる点も特徴で、新たな監視網を大規模に構築せず導入を始められる。
※Webhook:あるサービスで発生したイベントを契機に、別のアプリケーションやシステムへ自動でデータや通知を送信する仕組み。
秋の出没ピーク前に初動対応を高度化へ
クマの出没は例年、秋季にピークを迎える傾向があり、9月からの本格提供は対策需要が高まる時期と重なる。自治体では通学路や住宅街、学校での早期検知、商業施設では来店客や従業員の安全確保、建設・インフラ現場では作業員の退避判断など、用途の広がりが見込まれる。
特に高速道路や山間部の発電所など、常時人が目視監視することが難しい場所では、AIによる継続的な映像解析が初動の迅速化につながる可能性がある。検知と同時に警告設備や情報共有システムを作動させられれば、単なる「発見」にとどまらず、安全対策を自動化する基盤にもなりうる。
一方、AI検知を実際の対策へ結び付けるには、誤検知や見逃しへの対応、検知後の連絡体制、現場ごとの運用設計が重要になる。AIが検知した情報だけで安全を保証できるわけではなく、人による確認や自治体・事業者の対応手順との連携が不可欠だろう。
セーフィーは今後、イノシシ、シカ、サルなど、他の野生鳥獣を検知するAIサービスも検討する方針である。
映像AIを「監視」から社会課題の早期検知と判断支援へ広げられるか。「AI-App クマ検知」は、映像データを活用した「現場AX」の実用性を問う取り組みとなりそうだ。