技術展示会「CEATEC 2026」の各賞受賞案件が発表された。
総務大臣賞には三菱電機グループの音源分離AI技術「TUSS」が選ばれ、複数の音が混在する環境でも必要な音を聞き分ける技術として評価された。
フィジカルAIの認識能力を高める技術として注目される。
三菱電機のTUSS、複数の音を単一AIで分離
2026年10月6日、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、「CEATEC AWARD 2026」の各賞受賞案件を発表した。
総務大臣賞には、三菱電機グループが開発した「タスク汎用音源分離技術(TUSS)」が選ばれた。
TUSSは、複数の音が混在する環境から、必要な音を分離・抽出するAI技術である。
音声や機械音など、抽出したい対象をプロンプトで指定することで、異なる種類の音を単一のAIモデルで処理できる。
従来は音声分離や音声強調、機械音分離など、用途ごとに専用モデルを用意する必要があった。
TUSSは、こうした異なる処理を単一のAIモデルで実現し、現場や目的が変わっても柔軟に対応できる点を特徴とする。
工場や公共空間では、機械の稼働音や人の声、周囲の雑音が重なり、AIが必要な情報を正確に把握することは難しい。
TUSSはこうした課題に対応し、ロボットや監視機器、設備機器への実装を想定している。
処理の高速化やマイク本数に依存しない設計に加え、画像・映像中心だったフィジカルAIに聴覚情報を取り入れることで、異常検知や音声認識、現場記録などの精度向上につながる技術として期待できることが選評理由として挙げられている。
今回のCEATEC AWARDでは、経済産業大臣賞にTDKのスマートグラス用「メタオプティクスミラー」、デジタル大臣賞に日立製作所のAIソリューション群「HMAX」が選ばれた。
受賞技術などが展示されるCEATEC 2026は、10月13日から16日まで幕張メッセで開催される。
音の認識が広げるAI活用、実環境での精度検証が鍵か
今回の受賞技術は、フィジカルAIが現実世界への認識を広げるための技術となりそうだ。
画像・映像に音の情報を組み合わせれば、視覚だけでは捉えにくい設備の異常も把握しやすくなる可能性がある。
製造現場では、異常音の早期検知が設備保全の高度化につながるだろう。
人の声と機械音を聞き分ける機能は、作業員とロボットが共存する環境でも役立つと考えられる。
また、用途ごとにAIモデルを作り分ける必要が減れば、開発・運用負担の軽減も期待できる。
共通技術を複数の業務へ展開しやすくなることは、導入企業にとって利点となりそうだ。
一方、実際の現場では騒音や音源の位置が変化することも想定されるため、さまざまな環境下で安定した分離精度を維持できるかが課題となるだろう。
聞き逃しや誤検知が業務に及ぼす影響も含め、実環境での検証が求められるはずだ。
今後は、既存の監視システムやロボットへの組み込みやすさが普及の鍵を握るだろう。
視覚と聴覚を組み合わせた認識技術が、フィジカルAIの信頼性向上と実用化をどこまで後押しするか、引き続き注目したい。
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