2026年7月16日、株式会社ブロードバンドセキュリティ(BBSec)は、情報セキュリティ総合管理プラットフォーム「リスク管理ポータル」の新機能として、AIを活用した「インシデント対応訓練シミュレーター」の提供を開始した。ランサムウェアを想定した対話型訓練により、新任・兼務担当者の実践的な判断力の習得を支援する。
AI対話でランサムウェア対応を疑似体験
BBSecの新サービスは、CSIRTや情報システム部門の新任・兼務担当者を対象としたWeb型の教育・訓練サービスである。利用者はAIとの対話を通じて、ランサムウェア発生時の初動対応を疑似体験し、回答内容に応じたフィードバックや改善提案を受けながら判断力を磨ける。
訓練では、共有ドライブの異常やEDR(※)による検知、端末隔離、証拠保全、経営層への報告、バックアップ確認、復旧や公表の判断まで、実際のインシデント対応で求められる一連の流れを学習できる。標準シナリオは30〜90分程度で完了し、契約期間中は繰り返し受講可能だ。途中保存や結果のPDF出力にも対応しており、個人学習だけでなく少人数での振り返りにも活用できる。
集合型訓練やワークショップの実施には日程調整やシナリオ作成など多くの負担が伴うという課題がある。BBSecは、セルフサービス型の訓練を通じて継続的な学習機会を提供し、本格的な集合訓練やコンサルタント主導の演習につながる基礎教育としての活用を想定している。
※EDR:Endpoint Detection and Responseの略。PCなどの端末を監視し、不審な挙動を検知・分析して被害拡大を防ぐセキュリティ技術。
AI訓練普及で企業教育はどう変わるか
AIを活用した対話型訓練は、時間や場所を選ばず繰り返し学習できる点が大きな利点の一つと考えられる。集合研修では難しかった反復学習を実施しやすくなり、担当者ごとの理解度に応じた教育にも活用しやすくなる可能性がある。特に専任のセキュリティ人材が不足する企業では、教育コストを抑えながら実践的な判断力を養う手段として期待できそうだ。
一方で、AIシミュレーターだけでは実際のインシデント対応を完全に再現することは難しいと考えられる。部署横断の意思決定や経営層との調整、夜間対応といった組織固有の状況については、実地訓練や机上演習と組み合わせて補完することが望ましい。AIは基礎教育や反復学習を支援する役割を担い、本格的な実践演習を補完するツールとして活用が進む可能性がある。
今後は、AIによる個別学習と実践型訓練を組み合わせた教育モデルが普及することも考えられる。サイバー攻撃の高度化が続く中、知識だけでなく状況に応じた判断力を継続的に養う仕組みへの関心は高まるとみられ、企業のセキュリティ教育の在り方にも変化をもたらす可能性がある。
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