2026年7月1日、国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)と日本アイ・ビー・エム(IBM)は、生成AIや量子コンピューティングを活用した材料科学向けAI基盤の構築を目指す協業に向けた覚書(MOU)を締結したと発表した。両者の研究資産を融合し、新材料の発見から実用化までを加速する研究基盤の実現を目指す。
NIMSとIBM、AI活用の材料研究基盤構築へ
NIMSとIBMは、NIMSが長年蓄積してきた材料データや研究基盤と、IBMが持つ生成AI、基盤モデル、大規模言語モデル(LLM)、エージェント技術、量子コンピューティングを組み合わせ、材料科学分野におけるAI活用基盤の構築を目指す協業に向けたMOUを締結した。
今回の協業では、材料分野への先進AI技術や数理アルゴリズムの応用、量子コンピューティングの活用可能性の検証、研究データの統合基盤整備を主要テーマとして検討を進める。これらの議論を踏まえ、今後は具体的な共同プロジェクトの構想策定を進める予定である。
NIMSは材料データ中核拠点(MDPF)として、PoLyInfoやAtomWork-Adv.など世界有数の材料データベースを整備するとともに、自動自律実験の研究も推進している。一方、IBMは材料研究のDXを支援する「IBM Material DX」を展開し、AIや先端コンピューティング技術の実用化を進めてきた。両者は、それぞれの強みを融合することで、新材料の探索から実用化までを支える次世代の研究基盤構築を目指す。
研究効率向上に期待 データ整備と実用化が今後の鍵
今回の協業が具体化すれば、AIや量子コンピューティングを活用した材料探索の高度化が進み、研究開発期間の短縮や実験コストの削減につながる可能性がある。さらに、新材料の開発スピードが向上すれば、半導体や蓄電池、次世代通信、環境技術など幅広い産業への波及も期待され、日本の産業競争力強化に寄与する可能性もある。
一方で、高精度なAIを十分に活用するには、研究データの品質確保や標準化、研究機関や企業を横断したデータ連携が欠かせない。また、量子コンピューティングについても実用化には技術的な検証や研究基盤の整備が引き続き求められる。
NIMSが持つ世界有数の材料データ基盤とIBMのAI・先端コンピューティング技術を組み合わせる今回の取り組みは、日本発の「AI for Materials」の実現を後押しする第一歩と言える。今後、具体的な共同研究や研究成果が生まれれば、材料研究の進め方そのものを変える可能性があり、産学連携の新たなモデルとしても注目を集めそうだ。
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