バンダイナムコミュージックライブとバンダイナムコ研究所は、VTuber事業で業務提携したと発表した。実写ロケ地と3Dモデルをリアルタイムに融合する技術を、今夏から「MEWLIVE PROJECT」に導入する。
釣りロケで3Dと実写を同期
2026年6月23日に発表された今回の提携は、バンダイナムコミュージックライブが運営するVTuberプロジェクト「MEWLIVE PROJECT」に、バンダイナムコ研究所のデジタル表現技術を取り入れるものだ。
対象領域は配信映像やライブステージなどで、今夏から順次、新たな展開を始めるとしている。
中核となるのは、同研究所が開発するポータブル型キャラクターコントロールシステム「ELMIRAIVE™ CX(※)」である。バーチャルキャラクターのリアルタイム映像出演を支援する技術で、実写空間と3Dモデルをその場で融合しやすくする。
両社は、音楽・イベント制作のノウハウとXR(※)などの先端技術を掛け合わせ、VTuber表現の高度化を狙う方針だ。
具体例として、MEWLIVE所属VTuber「熊乃ベアトリーチェ」による映像コンテンツが制作された。撮影は浅川国際鱒釣場で行われ、3Dの釣りロケ収録をリアルタイムで実現したという。
従来は3D映像を別途収録し、後から実写背景と合成する手法が一般的だったが、今回は実際のロケーションで撮影した映像に、3Dモデルをリアルタイムで融合させ、現地にVtuberが出演しているような収録を行った点が特徴になる。
※XR:VR、AR、MRなど、現実空間と仮想空間をデジタル技術で組み合わせる表現・体験技術の総称。
リアル表現は差別化になるか
VTuber市場では、配信、音楽、ライブ、イベントが重なり合い、単なる画面内キャラクターにとどまらない体験設計が求められている。今回の取り組みは、屋外ロケや実写空間との共演をより自然に見せることで、VTuberの活動領域を広げる試みと言える。
メリットは、収録現場の臨場感を保ったまま、バーチャルキャラクターの存在感を高められる点にある。釣り場、観光地、店舗、イベント会場など、実在する場所とVTuberを結びつけやすくなれば、地域企画や企業コラボ、ライブ演出にも応用できる可能性がある。音楽や映像制作に強いバンダイナムコミュージックライブにとっても、キャラクターIPの表現手段を増やす意味は大きい。
一方で、リアルタイム合成は技術的な完成度が視聴体験を左右しやすい。モデルの動き、背景とのなじみ、カメラワーク、音声収録の質に違和感が残れば、かえって没入感を損なうおそれもある。
また、屋外ロケは天候や現場環境の影響を受けるため、通常のスタジオ収録より運用負荷が高くなる可能性がある。
今後の焦点は、この技術が単発の話題作りにとどまらず、継続的な番組制作やライブ演出へ展開できるかだ。VTuberを「画面の中の存在」から「現実空間に現れるキャラクター」へ近づけられれば、ファン体験の幅は広がる。グループ内の制作力と研究開発力を結びつける今回の提携は、VTuber表現の次の競争軸を示す動きになるだろう。
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