NTTとNTTドコモは、IOWNを活用した高品質なVRファンミーティングの共同実験に成功したと発表した。
VTuberとリアルタイムに会話しながら、ハイタッチした感覚まで得られる仕組みを実現し、新たなエンターテインメント体験として期待される。
IOWNで高臨場VR交流実現
2026年4月17日、NTTとNTTドコモは、複数のVTuberが出演するファン参加型ライブ「ConnectVFes」の特別企画として、IOWN APNを活用したVRファンミーティングの共同実験を2026年3月15日に実施し、成功したと発表した。
実験では、NTTドコモ XRスタジオと武蔵野市の実験会場を、大容量・低遅延・揺らぎなしを特徴とするIOWN APNで接続した。
片道の伝送遅延は平均0.04ミリ秒、遅延ゆらぎは0.05マイクロ秒という通信品質を実現し、ネットワーク越しでありながら、会場内の仮設スタジオと同等のリアルタイム性を確保した。
参加者は市販のVRゴーグルを装着し、VTuberと自然な会話を行いながら交流した。
さらに、NTTが研究開発したセルフハプティクス(※)によるVR触覚コミュニケーション技術を組み合わせることで、VR空間内でバーチャルキャラクターとハイタッチしているような感覚を得られることも確認された。
会場内に仮設スタジオを構築する従来方式と比べると、照明や高精度カメラ、サーバなどの大型機材を移設する必要がなくなり、運営コストは約20%削減できることも判明した。
実験参加者39名へのアンケートでは、全員が満足度について「やや満足」以上と回答し、「また参加したい」との意向を示している。
※セルフハプティクス:自分自身の身体に触れる感覚を利用し、他者や物体に触れたような触覚や力覚を疑似的に再現する技術。VR空間内での接触体験を高める用途などで研究が進んでいる。
VTuber市場拡大の起爆剤に
今回の実証は、VTuberイベントにおける「距離の壁」を大きく下げる可能性がある。
従来は、高品質なライブや交流イベントを実施するためには、会場内に専用スタジオを仮設し、演者や機材を現地へ移動させる必要があった。
しかし、IOWNを活用すれば、遠隔地のスタジオからでも高品質な映像と音声を安定的に届けられるため、地方会場や海外会場への展開もしやすくなるだろう。
VTuber市場では「リアルタイムで交流したい」「推しとの距離を近く感じたい」という需要が強いと考えられる。
今回のように、単なる映像視聴ではなく、触覚を含めた体験型コミュニケーションまで提供できるようになれば、ライブ配信と現地イベントの中間に位置する新しい収益モデルが生まれる可能性がある。
一方で、普及には課題も残ると言える。
高品質な通信回線や専用設備が必要になるため、導入コストが高額になる可能性があるほか、会場やスタジオ側に一定の技術的知識も求められるだろう。
また、触覚表現の精度がさらに高まれば、ユーザー側の期待値も上がるため、体験品質を安定的に維持できるかも重要になりそうだ。
今後、VTuberに加えてアニメ、ゲーム、スポーツ観戦、遠隔接客などへ応用範囲が広がれば、IOWNを活用したXR市場は一段と拡大する可能性がある。
エンターテインメントと通信技術の融合は、ファン体験そのものを変える段階に入りつつあると言えるだろう。
関連記事:
製造業の外観検査が遠隔化へ IOWNで300km先のAI制御を実証
