国内IT企業のメルカリは、モバイル通信サービス「メルカリモバイル」において、新品スマートフォン端末と通信回線のセット販売を開始したと発表した。
回線契約、端末販売、旧端末売却をつなぐ導線で、スマホ利用コストの抑制を狙う。
新品端末と回線を一体販売
「メルカリモバイル」は2025年3月に開始されたMVNO(※)サービスであり、4GB月額990円から利用できる低価格帯プランや、ユーザー同士でデータ容量を売買できる「ギガ売買」機能が特徴となっている。
これまでは通信回線のみを提供していたが、2026年5月21日、新品・未使用スマートフォンとのセット販売に対応したことが発表された。
対象端末はiPhoneとAndroidを含む約29機種で、AppleのiPhone 17やGoogle Pixel 10、motorola razr 60 ultraなど幅広いラインナップを用意する。
特に注目を集めているのは、MNP(他社からの乗り換え)契約を条件とした大幅値引き施策だ。メルカリは「最大99%割引き」というセールを打ち出しており、例えばmotorola「moto g05」は通常価格1万8700円に対し、のりかえ価格では110円で提供される。
また、セット購入者には「メルカリ」で利用できる販売手数料50%還元クーポンも配布される。古い端末をフリマ市場で売却し、その資金を次の端末購入に回す循環型の端末利用を促進する狙いがあるとみられる。
背景には、国内スマートフォン市場の変化があるという。総務省資料によれば、10万円以上の高価格帯スマホの販売比率は2020年度後半の21.1%から、2024年度には48.2%へ上昇した。
一方で、リユース端末市場も拡大傾向にあり、価格負担を抑えたい消費者ニーズが強まっていると、メルカリは分析している。
※MVNO:大手通信会社から回線を借り受け、自社ブランドで通信サービスを提供する事業者。一般的に大手キャリアより低価格な料金体系を特徴とする。
“売って乗り換える”モデル定着へ
今回の取り組みは、単なる格安SIM事業の拡張ではなく、「端末購入→利用→売却→再購入」という循環を自社経済圏の中で完結させようとする戦略と見ることができる。
多くの通信サービスが回線契約や端末販売を軸に展開する中、メルカリはフリマ基盤を組み合わせる点に特徴がある。
特に、スマートフォン価格の上昇が長期化する中で、リセール価値を前提に端末を選ぶ消費行動が広がる可能性には期待を持てるだろう。
一方で、課題も存在する。今回の大幅割引はMNP契約が前提であり、一定期間の利用継続条件も付帯するため、実質的には通信契約を軸とした販促施策の側面が強い。
また、端末価格の変動や在庫状況によって条件が変わる点も、利用者にとっては分かりづらさにつながる可能性がある。
さらに、ギガ売買や中古端末流通は独自性が高い反面、一般消費者への浸透には時間がかかるとも考えられる。
とはいえ、通信、端末販売、リユース市場を統合する今回の構想は、国内モバイル市場に新たな競争軸を持ち込む動きとして注目されそうだ。
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