国内暗号資産交換業者のSBI VCトレードとNFT事業を展開するSBINFTは、2026年7月1日を予定日とする吸収合併を発表した。
SBI VCトレードを存続会社とし、NFTマーケットプレイス「SBINFT Market」は6月30日で終了する一方、法人向けサービス「SBINFT Mits」は継続運営される。
SBI VCトレードがSBINFT吸収合併へ
2026年5月15日、SBIホールディングス傘下のSBI VCトレードは、2026年5月13日付の取締役会決議を経て、SBI VCトレードを存続会社とするSBINFTとの吸収合併を実施すると発表した。効力発生日は2026年7月1日の予定である。
今回の再編の背景には、NFT市場を取り巻く環境変化がある。
両社によれば、NFTのグローバル取引量は低下傾向にあり、市場の関心は投機的な売買から、RWA(現実資産)やデジタルサービスでの実利用へ移りつつあるという。
また、暗号資産、電子決済手段、NFTを一体的に扱う「オンチェーン」(※)型サービスの浸透も進んでいる。
合併後は、SBI VCトレードの顧客基盤やセキュリティ体制と、SBINFTが持つNFTプラットフォーム運営やマーケティング支援のノウハウを統合し、業務効率化と収益力強化を図る方針だ。既存の暗号資産サービス「VCTRADE」と「BITPOINT」に変更はない。
一方、SBINFTの提供サービスには変更が生じる。企業向けNFTマーケティング基盤「SBINFT Mits」は、SBI VCトレードによる運営継続が決定した。
他方、パブリックチェーン対応のNFTマーケットプレイス「SBINFT Market」は、2026年6月30日をもって終了予定となる。
利用中アカウントや保有資産への具体的対応、必要手続きについては、後日案内するとしている。
※オンチェーン:取引や資産管理などの処理をブロックチェーン上で実行・記録する仕組み。中央管理者を介さず、透明性や追跡可能性を確保しやすい特徴がある。
NFT再編が示す実需重視への転換
今回の合併は、国内Web3業界における事業の選択と集中が進んでいることを示す動きとも言える。
NFT市場では過去数年、アートやコレクティブル中心の売買が注目を集めたが、足元では取引量の鈍化が続き、単独マーケットプレイスの収益化は容易ではなくなっている。
そのなかで、暗号資産取引基盤とNFT機能を統合する戦略には一定の合理性がある。
SBI VCトレードの顧客基盤とウォレット機能に、SBINFTのマーケティング支援や企業向け知見が組み合わされれば、企業のデジタル会員証、ブランド施策、RWA連携など、実体経済に近い用途への展開余地が広がる可能性がある。
一方で、「SBINFT Market」終了は、国内NFTマーケットプレイス事業の厳しい競争環境も浮き彫りにしたと言える。
利用者にとっては、保有NFTの移管対応や今後の利用先選定が課題となる可能性があり、サービス終了時の説明や資産保全対応の透明性が重要になるだろう。
今後の焦点は、NFTが単独事業としてではなく、暗号資産、決済、ウォレット、デジタルIDなどと結び付いた総合的なオンチェーン金融サービスの一部として定着できるかにある。
今回の統合は、国内大手金融グループがWeb3事業の重心を「取引」から「実利用」へ移し始めた動きとして捉えることもできそうだ。
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