韓国の暗号資産取引所Upbitは、日本円連動型ステーブルコイン「JPYC」と米ドル連動型「PayPal USD(PYUSD)」の取引サポートを開始すると発表した。両銘柄はKRW、BTC、USDT市場で取り扱われる。
Upbit、JPYCとPYUSDを3市場で取扱い
Upbitは2026年9月17日、JPYCとPYUSDについて、韓国ウォン(KRW)、ビットコイン(BTC)、USDTの3市場で取引をサポートすると発表した。
入出金はいずれもEthereumネットワークに対応し、お知らせ掲載時点から1時間30分以内に開始するとしている。
当初、両銘柄の取引開始時刻は9月17日の12時を予定していた。ただしJPYCは開始時刻が15時へ変更された後、さらに18時へ延期された。
Upbitは、入出金開始後に一定水準の流動性を確保できない場合、取引開始を延期する可能性があるとしている。
取引開始直後には制限も設けられる。約5分間は買い注文が制限されるほか、前日終値比で10%を超えて安い価格での売り注文も制限対象となる。
また約2時間は指値注文を除く注文タイプや注文条件を利用できない。
加えて、Upbitでは入出金元についても一定の条件を設けており、トラベルルールや本人確認済みウォレットへの対応が求められる。
JPYCは日本円との1対1の価値連動を目指すステーブルコイン(※)で、発行主体のJPYC株式会社は2025年8月に資金移動業者として登録し、同年10月から電子決済手段に該当するJPYCの正式発行を開始した。
一方、PYUSDは米ドルと1対1で連動し、Paxos Trust Companyが発行と準備資産管理を担っている。
※ステーブルコイン:法定通貨など特定資産との価格連動を目指して設計されたデジタル資産。価格変動を抑え、暗号資産取引や送金、決済などで価値を移転しやすくする用途が想定される。
円建てステーブルコインの海外流通拡大に注目
JPYCが韓国の大手取引所でKRW、BTC、USDTと直接取引できるようになることは、日本円建てステーブルコインの流通範囲を広げる契機となり得る。
国内で発行・償還される円連動資産が海外市場でも取引されれば、暗号資産市場における円建て流動性の接点が増える可能性がある。
また、PYUSDと同時に取り扱われる点も象徴的だ。米ドル連動型と日本円連動型のステーブルコインが同じ取引所で並ぶことで、利用者は法定通貨ごとの価値移転手段を比較しやすくなる。
今後、送金や決済だけでなく、暗号資産取引の待機資金としての用途が広がれば、ステーブルコイン間の競争も強まると考えられる。
一方で、海外取引所への上場だけで利用が定着するとは限らない。
JPYCは今回、取引開始が2度延期されており、十分な流動性を継続的に確保できるかが重要になる。
こうした利用条件を踏まえると、取引量だけでなく規制対応を含めた利用環境の整備も普及の鍵となる。
今後の焦点は、JPYCが韓国市場でどの程度の取引量を形成し、円建てデジタル資産として実需を獲得できるかにある。
海外市場での利用が広がれば、日本円ステーブルコインの認知度向上につながる一方、流動性や規制対応を含む運用基盤の安定性が普及を左右すると言える。
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