東京都中央区の花火制作会社、日本橋丸玉屋は、NARITA花火大会の写真を使ったチャリティーNFTの販売を開始した。売上から制作費・システム料を除いた収益の全額を成田市へ寄付し、9月の大雨で被害を受けた印旛沼周辺地域の復旧・復興を支援する。
花火NFTを数量限定販売、経費控除後収益を成田市へ寄付
2026年11月4日に販売開始されたのは、NARITA花火大会で撮影した「千輪菊」「黄金伝説」「タワー花火」などの写真を用いた数量限定のNFT(※)アートである。
作品ごとの販売価格と発行数は、各販売ページで案内されている。
購入特典として、空から撮影したドローン映像と、花火の打ち揚げ場所付近から撮影した近距離映像を融合したスペシャル映像が提供される。観客席からは見られない視点を含む映像が組み合わさったコンテンツである。
販売先は、株式会社TORATが運営するNFTマーケットプレイス「SAKOKU」で、先述の購入特典映像も同サービス上で視聴できる。
暗号資産の購入や専用ウォレットの作成は不要で、日本円またはクレジットカードで決済できる。ただし、購入にはSAKOKUへの会員登録が必要となる。
背景には、2026年9月の台風第25号による大雨被害がある。印旛沼周辺では堤防決壊や広範囲の浸水が発生し、現在も復旧が続いている。
大会の舞台となる地域の被災を受け、日本橋丸玉屋は花火に携わる企業として支援を決めたという。
寄付対象は制作費・システム料を差し引いた販売収益の全額で、同社は本企画から収益を得ないとしている。
※NFT:ブロックチェーンを用いて個々のデジタルトークンを識別し、保有や移転の履歴を記録する仕組み。NFTアートでは、デジタル作品に紐づく保有情報を記録できる。
地域支援の新たな手段に 寄付の透明性が課題か
NFTを活用する利点は、寄付への参加にデジタル作品という購入動機を組み合わせられる点にありそうだ。社会貢献とコンテンツ消費を接続する仕組みは、従来の募金に関心を持ちにくかった層にも参加を促す可能性がある。
また、暗号資産やウォレットを準備せずに購入できる設計は、NFT利用の初期障壁を下げるだろう。地域イベントや観光資源をNFTとしてデジタル化すれば、開催後も作品を楽しめる仕組みとして他地域への応用が考えられる。
一方、寄付額は販売数や価格に加え、控除される費用にも左右されるはずだ。販売数や費用の内訳、寄付実績が公表されなければ、最終的な寄付額や資金の流れを外部から確認しにくいだろう。情報開示が不十分な場合、企画の信頼性に影響しかねない。
同様の取り組みを広げるには、作品の魅力に加え、資金の使途や寄付後の成果を説明することが重要になりそうだ。NFTを一時的な販売手段で終わらせず、地域との継続的な関係づくりに結び付けられるかが、企画の価値を左右すると考えられる。
関連記事:
あるやうむが京極町でNFT販売 道の駅の飲食3品を“一生”利用できる権利

SUSHI TOPとセブン銀行がNFT配布 城フェス誘客

AR企業のXREAL、初音ミク公式イベントに出展へ ARグラスで花火と仮想演出を同期
