ヤマハモーターエンジニアリングと五十畑工業は、保育現場向けの「電動アシストお散歩カー」を共同開発した。手動で動かしていた園児用カートに電動アシスト機能を搭載し、保育士の身体的負担の軽減を目指す。
保育士の負担を軽減する電動お散歩カー
2026年8月18日に発表された「電動アシストお散歩カー」は、保育士が子どもたちを乗せたカートを移動させる際の身体的負担を軽減するために開発された。
正式名称は「避難車兼用電動アシストお散歩カー『てくてくスワニー』」で、2026年9月から受注を開始する予定だ。
従来のお散歩カーは、園児が乗車した状態で保育士が人力で移動させる必要があり、特に坂道などでは大きな力が求められていた。今回の製品では電動アシストユニットを搭載し、手動操作を支援することで、こうした移動時の負担を抑える設計となっている。
開発を手掛けたのは、ヤマハモーターエンジニアリング(YEC)と、ベビーカーの老舗企業である五十畑工業だ。YECは消防業界向けに電動アシストホースカーを開発してきた技術を生かし、保育現場への展開を進めた。
製品開発では約2年半にわたって保育士へのヒアリングを行い、複数の保育園で試作品の評価を実施した。試作車は6台製作され、操作性や利便性を確認しながら改良を重ねている。
2026年7月下旬には、神奈川県横浜市保土ヶ谷区の「ゆめの樹保育園ほどがや」で最終試作品を試走した。
園児の乗車を想定して約70kgの重りを搭載し、園前の急な坂道を走行したところ、試走した女性保育士は「自分の体と一体になって動いてくれて今までの10%くらいの力で動かすことができました」と話している。
負担軽減の一方で運用面の確認も必要か
保育士の業務には、子どもの見守りだけでなく、移動や避難など身体的な負荷を伴う作業も含まれる。こうした工程を技術で補助できれば、限られた人員で業務を担う現場の負担を抑える一助になる可能性がある。
特に、坂道や長距離の移動では人力による負荷が大きくなりやすいため、電動アシストの効果を発揮しやすいと考えられる。保育士の疲労を抑えられれば、子どもと向き合う時間や業務全体の余力を確保しやすくなる面もありそうだ。
一方で、電動機構を備えることで、導入時の費用や充電、日常的な点検など新たな運用負担が生じる点には留意したい。保育園ごとに道路環境や利用頻度が異なるため、実際の導入効果にも違いが出るとみられる。
今後は、電動化による負担軽減だけでなく、避難時を含めたさまざまな場面でどのように活用できるかも判断材料になりそうだ。保育現場の移動負担に対して、既存技術を応用するアプローチがどこまで受け入れられるかにも注目したい。
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