スカパーJSATはNASAの有人月周回ミッション「アルテミスⅡ」で、宇宙船「Orion」の追跡を支援したと発表した。
アジアの民間企業で唯一の地上局パートナーとして信号の受信・測定に成功し、NASAから感謝状と認定証を受領した。
NASA月周回ミッションでOrion追跡に成功
スカパーJSATは2026年9月18日、NASAが進める有人月周回ミッション「アルテミスⅡ」において、宇宙船「Orion」から送信される一方向ドップラー測定信号(※)の受信・測定を担ったと発表した。
同社はアジアの民間企業として唯一、地上局パートナーに選定されている。
追跡には日本国内で運用する地上局設備を活用し、Orionから送信された信号の受信と測定に成功した。
アルテミスⅡはNASAのアルテミス計画における初の有人ミッションで、4人の宇宙飛行士が搭乗したOrionが月面には着陸せず、月周回軌道を約10日間飛行して地球へ帰還する試験飛行である。
日本時間2026年4月2日に打ち上げられた。
今回の追跡支援には世界14カ国、34を超える組織が参加した。
NASAは感謝状で、これらの組織がOrionのトラッキングに成功し、人類の宇宙飛行支援における重要な節目に寄与したと評価している。
各組織が収集したデータや運用経験は、今後の深宇宙探査に向けた支援体制の強化にも活用される見込みだ。
スカパーJSATは今後も衛星通信と地上局運用で蓄積した知見を生かし、国内外の宇宙機関や民間企業と連携しながら、次世代の宇宙ミッションを支えるインフラを提供する方針である。
※一方向ドップラー測定:宇宙機から送信された電波を地上局で受信し、周波数の変化であるドップラーシフトから速度や軌道情報を推定する技術。宇宙機の追跡やミッションの安全確保などに利用される。
民間地上局の活用拡大が宇宙インフラを変える可能性
今回の実績は、衛星通信事業者が保有する地上局設備や運用ノウハウが、通信サービスだけでなく深宇宙探査の支援にも活用できることを示している。
月やその先を目指す宇宙ミッションが増えれば、宇宙機を継続的に追跡するための地上インフラに対する需要も高まる可能性がある。
とりわけ、複数の国や地域に地上局を配置し、民間事業者を含む多数の組織が連携する仕組みは、追跡可能な時間帯や地域を広げるうえで有効だと考えられる。
政府機関のみで設備を整備する場合と比べ、既存の民間設備を活用できれば、宇宙探査を支えるネットワークの拡充にもつながりうる。
一方、有人宇宙飛行では通信や追跡の確実性が安全性に直結する。
民間企業の参加が拡大するほど、設備の信頼性や運用手順、各組織間の連携精度を継続的に確保する重要性も増すだろう。
今回の事例を契機に、国内の衛星通信事業者が保有する設備や技術が、深宇宙探査を支えるインフラとして再評価される可能性もある。
日本企業が国際的な宇宙ミッションへの参加実績を積み重ねれば、地上局運用や通信支援が新たな宇宙ビジネス領域として広がっていくことも考えられる。
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