NTTは、「IOWN AI Fund」がAIデータセンター向け光ネットワーク技術を開発するiPronicsへ初号投資を実施したと発表した。
総額1億2,500万米ドルのシリーズBに参画し、次世代AIインフラの構築を後押しする。
IOWN AI Fundが光スイッチ企業へ初号投資
NTTは2026年9月9日、同社が2026年6月10日に組成した「IOWN AI Fund」が、AIデータセンター向けのプログラマブル光ネットワーク技術を開発するiPronicsへ初号投資を実施したと発表した。
IOWN AI Fundは、NVIDIAを含む新規・既存投資家が参加する総額1億2,500万米ドルのシリーズB資金調達に参画している。
iPronicsは調達資金を活用し、製品の商用展開や事業運営体制の拡充、グローバル市場への進出を加速する予定だ。
iPronicsは、シリコンフォトニクス(※)を活用したプログラマブル光回路スイッチを開発する企業である。
ラック内やラック間の光接続をソフトウェアで動的に組み替えることで、AIワークロードに応じた柔軟なネットワーク構成を可能にし、GPU利用効率の向上や消費電力の低減、構成の簡素化を目指す。
AIクラスタの大規模化に伴い、GPU自体の演算性能だけでなく、GPU間通信の帯域や電力効率も重要になっている。
iPronicsの技術は、光信号を電気信号へ変換せずに光パスを切り替えることで、従来の銅線や固定的な接続が抱える制約の解消を狙う。
またNTTは、自社が開発する光電融合スイッチとは特性が異なり、iPronicsの光回路スイッチは切り替え速度で劣る一方、大容量通信が一定時間続く用途に適していると説明している。
そのうえで、「両技術はそれぞれ異なる特性を持つ相補的な関係にあり、適材適所で組み合わせることで、データセンターネットワーク全体の高効率化を促進し、IOWNエコシステムの拡大に貢献することが期待されます」と意義を強調した。
※シリコンフォトニクス:半導体製造技術を応用し、シリコン基板上で光の伝送や制御を行う技術。高速・大容量通信と低消費電力化を両立しやすく、AIデータセンターなどで活用が期待されている。
AIインフラ省電力化へ光技術の重要性高まる
今回の投資は、IOWN AI Fundが掲げるフォトニクスや光スイッチ分野を具体的な事業連携へ進める第一歩になると考えられる。
AIの計算需要が拡大するなか、GPUを増設するだけでは電力消費や通信効率の課題を解決しにくく、ネットワーク自体の省電力化が競争力を左右する可能性がある。
特に、光回路スイッチと光電融合スイッチを相補的に組み合わせられれば、通信特性に応じて最適な方式を選択しやすくなる。
大容量で安定した通信には光回路、高速な経路変更が必要な通信には光電融合を使うことで、AIクラスタ全体の効率向上につながるだろう。
一方、光回路スイッチは切り換え速度に制約があり、すべての通信を一つの技術で置き換えられるわけではない。
用途ごとの適切な設計や既存設備との統合が進まなければ、技術的な優位性を十分に生かせない可能性もある。
今後、iPronicsの商用展開や海外市場への進出が進み、NTTグループやグローバルパートナーとの連携が具体化すれば、IOWNを軸としたAIインフラの実装範囲が広がるだろう。
光技術を計算基盤だけでなくネットワーク全体へ浸透させられるかが、次世代データセンターの競争力を左右する焦点になりそうだ。
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