国内デジタルマーケティング企業の電通デジタルは、デジタル制作物のレビューをAIエージェントで自動化・支援する「DeGA」の提供を開始した。
企業ごとのガイドライン確認やUIの一貫性チェックを効率化する。
AIがガイドライン非適合やUI差異を自動検出
電通デジタルが2026年9月8日に提供を開始した「DeGA(Design Governance Agent)」は、ウェブサイトやアプリなどのデジタル制作物について、企業ごとのデザインガイドラインやブランドルール、アクセシビリティ基準への適合状況をAIエージェント(※)が確認するソリューションである。
AIは基準に適合していない箇所や改善が必要な部分を特定し、理由と具体的な改善案まで提示する。
これにより、人手に依存していたレビュー工数を減らすとともに、担当者によって異なりやすい判断基準の標準化を支援する仕組みだ。
さらに、新規・改修プロダクトと既存プロダクトを横断的に比較し、ボタンやフォーム、ナビゲーション、レイアウト、色、タイポグラフィ、文言などの差異を検出する。
既存プロダクトの画面やUIを解析し、実際の仕様からデザインガイドラインを逆算して策定・整備する機能も備える。
利用企業のAIチャット環境やバイブコーディングツールへの実装に加え、ブラウザ上で使える専用AIツールとしての構築にも対応する。
自然言語でUIを設計・実装する同社の「HOZO」と連携すれば、UI生成からガイドライン確認までを一気通貫で行えるという。
※AIエージェント:設定された目的やルールに基づき、AIが情報を分析しながら複数の処理を自律的に実行する仕組み。業務の自動化や人の意思決定支援などに活用される。
制作効率化の一方で基準設計の精度が重要に
DeGAの導入が広がれば、デジタル制作におけるレビュー業務の位置付けが変わる可能性がある。
単純なルール確認をAIに任せることで、デザイナーやレビュー担当者は企画や表現、ユーザー体験の改善といった創造性を求められる業務へ時間を振り向けやすくなる。
特に複数のウェブサイトやアプリを運営する企業では、プロダクトごとのUI差異を横断的に確認する作業の効率化につながると考えられる。
AIによる横断的な確認が定着すれば、制作スピードを維持しながらブランド体験の統一を図る手段になり得るだろう。
一方、AIの判断品質は、組み込むガイドラインやブランドルールの内容に左右される。
基準自体が曖昧だったり、実際のプロダクトと乖離していたりすれば、自動化しても適切なレビューにつながらない可能性があるため、人による基準設計や最終判断は引き続き重要になる。
今後は、UI生成とレビューをAIで連続的に処理する制作体制が進めば、デザインガバナンスは完成後に確認する工程から、制作過程へ組み込まれる仕組みへ変化すると考えられる。
DeGAは、AIを制作そのものだけでなく品質管理にも適用する動きの一例と言えそうだ。
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