2026年8月18日から20日、国内のKDDIとKDDI総合研究所は、韓国・ソウルでSamsung Researchと7GHz帯を使った屋外実証を実施した。100MHz幅のダウンリンクで3.6Gbpsを達成し、世界最高水準の通信速度を確認した。
7GHz帯で3.6Gbps、Sub6と同等の通信エリアを確保
今回の実証では、7GHz帯で100MHzの帯域幅を利用し、Extreme Massive MIMO(※1)を採用した基地局を屋外に設置した。さらに、1024QAM(※2)の変調方式を組み合わせ、基地局から端末へのダウンリンク通信で3.6Gbpsを実現している。
比較では、8レイヤーを用いた同一環境において、従来の5Gで広く利用される256QAMの通信速度が3.0Gbpsだったのに対し、1024QAMでは3.6Gbpsに到達した。通信速度は20%向上しており、100MHz幅のダウンリンク通信として世界最高水準の成果となる。
7GHz帯には、Sub6(※3)より周波数が高いことで電波が届きにくく、伝搬損失が大きくなる課題がある。そこでExtreme Massive MIMOによって多数のアンテナ素子を制御し、電波を特定方向へ集中させることで信号品質を高めた。
その結果、7GHz帯でも実証地点に設置したSub6基地局と同等の通信エリアを確保できることを確認した。高速化だけでなく、エリア確保という7GHz帯の課題にも対応できる可能性を示した形だ。
※1 Extreme Massive MIMO:多数のアンテナ素子を緻密に制御し、電波の信号品質向上や特定方向への集中を実現する技術。
※2 1024QAM:一度により多くの情報を送信できる変調方式。256QAMより高速な通信が可能になる。
※3 Sub6:6GHz未満の周波数帯を指す。5Gなどで広く利用されている。
AI時代の通信需要に対応 6G普及への技術基盤を構築
背景には、6G時代にAIをはじめとする新たなサービスが普及し、通信トラフィックがさらに増加すると見込まれていることがある。2027年開催予定のWRC-27(※4)では、6G向け周波数として7GHz帯から8GHz帯までの利用が議論される予定であり、今回の成果は将来の周波数活用を見据えた技術検証と位置付けられる。
KDDIは、大容量・低遅延の通信ネットワークとAI計算基盤を融合する「デジタルベルト構想」を推進している。本実証で得られた高速通信とエリア確保の成果は、AIを前提とする社会に向けた大容量通信の実現に貢献するものとなる。
一方、7GHz帯は高周波数ゆえに電波が届きにくいという課題が残る。今回、Sub6と同等の通信エリアを確認できたとはいえ、実証環境で得られた結果を幅広い環境で再現できるかは今後の検証が必要になる。
今後、KDDIとKDDI総合研究所がさらなる高速・大容量通信に向けた無線技術の研究開発を進めれば、AIによるデータ処理や新たなサービスの普及を支える通信基盤へ発展する可能性がある。6Gの周波数利用をめぐる議論とともに、その技術動向が注目される。
※4 WRC-27:国際電気通信連合(ITU)が2027年に開催予定の世界無線通信会議。周波数利用などを議論する。