HIKKYとアルファクラブ武蔵野は、メタバース霊園「風の霊」でNFT区画の販売を開始した。
場所や距離に左右されにくい供養の場として、オンライン上で墓を建立し、供養や家族との共有、区画の継承まで行える新たな選択肢を提供する。
NFT区画を10万円で販売、相続にも対応
2026年8月13日、HIKKYとアルファクラブ武蔵野は、共同開発するメタバース霊園「風の霊」でNFT(※)区画の販売を開始した。
「風の霊」は、パソコンやスマートフォンからアクセスし、アバターを通じて故人を偲んだり、墓参りをしたりできるサービスである。
2024年9月にサービスを開始し、2026年2月には誰でも無料で訪問できる霊園スペースを公開していた。
そして今回、1区画10万円(税込)のNFT区画を4種類から選んで購入できるようになった。購入した区画には無料の墓石を設置し、墓石の文字や墓誌も設定できる。
また、花や線香などの供物を購入できるほか、家族や親族がメッセージを残せる機能、写真・動画の保存容量を拡張する月額500円のサブスクリプションにも対応した。
生前に継承者を設定し、NFT区画を家族へ引き継ぐ相続機能も備えられている。
さらに、実際の葬儀と連動するイベントスペース「風ノ間」も無料開放された。
葬儀のライブ配信を視聴しながら、メタバース上で献花や焼香が可能で、遠方やさまざまな事情で葬儀場へ足を運べない人も参列できる仕組みだ。
※NFT:デジタルデータや権利などについて、ブロックチェーン技術を用いて固有性や保有情報を記録・管理する仕組み。
供養の距離を縮める一方、デジタル墓の定着が課題か
今回の機能拡充は、場所や時間に左右されにくい供養の選択肢を広げる可能性がある。
特に、実家から離れて暮らす人や高齢で移動が難しい人でも、24時間365日アクセスでき、家族や親族と故人を偲ぶ時間を共有しやすい点は大きなメリットだろう。
墓じまいや樹木葬など供養の形が多様化するなか、リアルな墓を補完する新たな供養の選択肢の一つになり得る。
一方、デジタル上の墓やNFT区画に対する受け止め方は人によって異なるとみられる。
供養は宗教観や家族観とも結びつくため、価格や機能だけでなく、従来の墓参りとの関係をどう理解してもらうかが普及の課題になりそうだ。
また、家族間で区画を継承する仕組みについても、利用方法や管理の分かりやすさが重要になると考えられる。
とはいえ、写真や動画、メッセージといった故人の記録を蓄積し、家族が世代を超えてアクセスできる体験が定着すれば、メタバース霊園は単なるオンライン墓参りではなく「記憶を受け継ぐ場」へ発展する可能性がある。
今後は、リアルな墓に代替するのではなく供養文化をデジタルでつなぐという位置づけをどこまで利用者に浸透させられるかが、サービス定着のポイントになりそうだ。
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