一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)が、ブロックチェーン技術の社会実装を支える「税制部会」を新設した。暗号資産やステーブルコイン、DeFiのビジネス利用に伴う税務課題を整理し、制度改正やガイドライン整備に向けた政策提言を目指す。
BCCCが税制部会を新設 Web3の税務課題を整理
BCCCは2026年8月12日、ブロックチェーン技術の社会実装を促進する税制のあり方を検討・提言する「税制部会」を新設した。
暗号資産、ステーブルコイン、DeFi(※)などの活用によって生じる決済、送金、資金調達、資産運用、報酬支払いなどの経済活動を対象に、税務上の課題を整理する。
背景には、ブロックチェーン技術の用途が暗号資産から、決済や金融インフラ、デジタル資産など実体経済と密接に関わる領域へ広がっていることがある。
日本でも政府がWeb3推進に向けた環境整備を進め、2023年6月にはステーブルコインの法的枠組みを整備した改正資金決済法が施行された。さらに2026年4月には、暗号資産の金融商品取引法への移行が閣議決定されている。
一方、企業がデジタル資産を事業で利用する際の税務処理については、取引類型ごとの具体的な指針が十分に整理されていないという。
BCCCは、従来の投資・保有を前提とした税制議論に加え、実際のビジネスや決済現場に即した税制整理が必要だとしている。
税制部会では、損益認識や評価方法、取引データの管理、税務申告などの実務論点を検討するほか、参加企業・団体間で事例を共有する。
海外の税制動向も把握しながら、税務当局や関係省庁に制度改正・ガイドライン整備を提言する方針だ。
部会長は税理士法人ファシオ・コンサルティング代表の八木橋泰仁氏、副部会長は村上裕一公認会計士事務所の村上裕一氏が務める。
9月15日にはキックオフイベントも開催される予定である。
※DeFi:Decentralized Finance(分散型金融)の略。ブロックチェーンを利用し、銀行などの中央管理者を介さず金融取引やサービスを提供する仕組み。
税務の明確化がWeb3普及を後押しする可能性
税制部会設置の最大のメリットは、企業がステーブルコインやDeFiを事業へ組み込む際の税務上の不確実性を減らせる点だろう。決済や送金、報酬支払いなどについて処理方法が明確になれば、企業が導入を判断しやすくなり、ブロックチェーンの実用化を促す効果が期待できる。
特に注目できるのは、税制を投資家向けの制度としてではなく、企業活動を支えるインフラとして整理しようとしている点だ。税務上の予見可能性が高まれば、既存金融とWeb3の接続が進み、日本円建てステーブルコインなどの利用拡大にもつながる可能性がある。
一方で、税務ルールの明確化だけで社会実装が進むとは限らない。
デジタル資産の取引は複雑化しやすいため、損益計算やデータ管理、申告方法などに実務負担が残れば、制度が整備されても企業参入の障壁となり得る。
規制との整合性を保ちながら、企業が実際に運用できる制度へ落とし込めるかが重要になるだろう。
今後、税制部会から具体的な政策提言が示され、それが制度改正やガイドライン整備につながれば、日本のWeb3政策においても、投資・保有だけでなく事業利用を重視する流れが強まるかもしれない。
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